DAY49 ページ2
SIDE TH
TH「韓国語、話せるんですか?A、Aヒョンは?ここどこですか、僕たち、えっと、」
「韓国語は、」
焦って言葉を並べた僕を諭すように、おじいさんは落ち着いた、でもよく通る声で答える。
「韓国語は、私の友人が教えてくれた。古い友人だ。世良くんは無事だ。今眠ってる。ここは私と、妻の家。世良くんが倒れた原因は病気とかじゃないんだ。少し寝かせて、落ち着けばよくなると思って、私がこの家に連れてきた」
TH「Aヒョン、どうして倒れたんですか」
それを聞かないことには何も進まない、とおじいさんに問うけれど、おじいさんは少し困ったように笑うだけだ。
「それは、私の口からは言うことではないな。世良くんから聞きなさい」
TH「でも、………でもAヒョン、話してくれないんです。聞いてもはぐらかされるし」
「そりゃあ、誰にだって言いたくないことはあるだろうさ。君だって、どんなに聞かれても話したくないことがないわけじゃないだろう」
そう返されて、黙ってしまう。
たしかに、それがトラウマ、ってわけじゃないけど、僕も聞かれてなんでも答えられるわけじゃない。いくら家族だって、メンバーだって。
「でも“教えてもらう”方法ならいくらでもある」
TH「……どういうことですか」
「人はどれだけ離れいても、近くても、コミュニケーションだよ、テヒョンくん。君はそういうのが苦手かな?」
TH「コミュニケーション……って、え、」
どうして僕の名前知ってるんだ?それに、まるで僕のこと、知ってるみたいな。
「ここは田舎だからいいけど、人通りの多い場所へは流石に顔を隠していたのかい?話題にならないのが不思議なくらいだ。うまく観光したみたいだね」
TH「なんで、僕のこと、知って……?」
「世良くんは僕の孫みたいなものだからね。韓国で頑張る世良くんを応援しているうちに、“あーみー”になっていたようだよ」
TH「アーミー………」
「私がもう少し………この足の自由がきけば、世良くんを苦しめることもなかったんじゃないか、って、ずっと後悔していたんだが……君たちを見て、世良くんはあっちでいい仲間に出会えたと、とても嬉しいよ。ありがとう」
TH「……どういう、」
『……テヒョナ、………藤原さん』
TH「Aヒョン!!」
開いた襖に寄りかかったAヒョン。隣の部屋で寝ていたみたいだ。
「起きたかい、世良くん」
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星野あかり(プロフ) - このお話を書いて下さり本当にありがとうございます。このお話に出会えて、読むことができてよかったです。生きててよかった。 (9月3日 20時) (レス) @page38 id: 743718b8cd (このIDを非表示/違反報告)
S - 更新ありがとうございました。とても素敵な作品で大好きです。この作品の登場人物は、私の心に実際に生きて、新しい話を読むごとに、その人生を歩んで行きました.最期まで幸せにしてくれてありがとうございます.私はこれからもこの物語の登場人物とすばる様のファンです (2020年3月22日 1時) (レス) id: 39cbc60f3e (このIDを非表示/違反報告)
青衣(プロフ) - 更新嬉しいです。戻ってきてくれてありがとうございます (2020年3月2日 20時) (レス) id: 13074a2c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すばる | 作成日時:2019年6月3日 0時