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「初めて、こんなに人を好きになったのに」
彼女は、いつも真っすぐだ。
一生懸命に、真正面から、僕に歩み寄ろうとしてくれた。
この期に及んでまだ曖昧な対応を考えていた自分に嫌気がさす。
いつからや。
いつからこんな大人になってしまったんやろう。
「好き」だけで恋愛をしていい歳じゃないと決めつけていたのは他ならぬ自分で、
そのくせ彼女を弄ぶような態度を取った。
本当は、彼女の笑う顔が好きだったくせに。
彼女の話す声が好きだったくせに。
深夜の彼女からのLINEや、
お酒を飲んだらすぐ真っ赤になる顔や、
僕と居る為につく小さな可愛い嘘が、
好きで好きで仕方がなかったくせに。
「Aちゃん、泣かんどって」
顔を伏せて泣いている彼女の頭に手を乗せて軽く撫でる。
「泣かんどってよ」
柔らかい髪を滑って、頬に手を添えると、
Aちゃんはゆっくり顔を上げた。
ぐちゃぐちゃに泣きじゃくった顔。
こんなに泣かせてしまったのは、僕。
「Aちゃんは、強いんやね。
僕は逃げてばっかやってん」
こんなに歳の離れた子を好きになってしまうのは、
悪いことなんじゃないかと思った。
僕とAちゃんが一緒にいることが、
彼女にとって最善だとは思わなかった。
思えなかった。
「せっかくAちゃんが、たっくさん時間くれとったのに、
何もせんでごめん」
「あ、謝らないでくださ」
「謝るよ。悪いことしたもん。
そんないっぱい抱えさせてしもて、
酷なことしたなぁ。ごめんな」
彼女の手を握ると、控えめに握り返してくれる小さな手。
一緒に居っても、ええんやろうか。
こんなおっさんやけど、意気地なしやけど。
「僕で、ええの？」
「…川西さんがいいです」
「…そっか。ほな、付き合おうか」
彼女に笑いかけると、驚いたように目を見開いてから、
僕の大好きな笑顔を見せた。
「好きやで」
こんなたった四文字を言っただけで、随分と体が軽くなった。
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まるバツ - コメント失礼します。作者様が書く水田さんのお話を見て感動し、涙が出てしまいました。他の作品もすごく良かったです。感動をありがとうございました。 (2020年3月16日 21時) (
レス) id: c740033d66 (このIDを非表示/違反報告)
群青(プロフ) - コメント失礼します！とてもキュンキュンして最高です、、、ありがとうございます、、｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2019年3月29日 21時) (レス) id: 9b7965816f (このIDを非表示/違反報告)
アンバー(プロフ) - ぱさん» 嬉しいことばかり言っていただいて、本当にありがとうございます。いい夢見れそうです。更新速度は遅いですが、気が向いた時にまた読みに来てください。 (2019年3月28日 2時) (レス) id: efd8720fdd (このIDを非表示/違反報告)
ぱ - アンバーさん» お話があまりにも素敵すぎたので、この感動をどうしても伝えたくなり、いつもは見るだけだったのですが初めてコメントしてみました。わざわざお返事までありがとうございます。作者様の書かれるお話が大好きなので、どうか無理せず頑張られて下さい。応援しています。 (2019年3月25日 1時) (レス) id: e276a22e2d (このIDを非表示/違反報告)
アンバー(プロフ) - ぱさん» ありがとうございます！現実的に書くことや、芸人さんのキャラはすごくこだわっていたところだったので、このお話を読まれたぱさんが気付いてくださったこと、また、コメントしていただいたこと本当に嬉しいです。ちょっと泣きそうです。これからも頑張ります。 (2019年3月25日 0時) (レス) id: efd8720fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アンバー | 作成日時：2019年3月24日 0時
