Drunken Whale (ページ48)

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星空の下でページ48

(side You)

例の通り、大食漢のエース隊長のおかげで食料庫がほとんど空っぽになってしまった。

この緊急事態にバーも自粛。キッチンに立って徹底的にサポートを務めた。

サッチ隊長が何とかやりくりをして、普段は捨ててしまうような魚の骨や野菜の皮まで余すこと無く使い、細々と繋いできたがとうとう限界が来た。捨てる部分をあらゆる工夫で美味しいご飯に変えたサッチ隊長はキッチンの英雄だ。

そしてそんな事態を見越して島に寄る準備を進めていたマルコ隊長にはもはや頭が上がらない。島への上陸を聞かされた4番隊は涙が止まらなかった。

てんやわんやの4番隊を休ませるためにも、その他の隊で上陸の準備を進めていたらしい。明日には上陸の予定だ。

サ｢Aもこの機会にいろいろ仕入れとけよ～｣

激務から解放されたサッチ隊長は浮かれ気分で4番隊に指示を出す。

『ふふ、よかったですね、サッチ隊長』

サ｢おうよ！さっすがマルコ！頼りになるぜ～！｣

クルクルと回ったりステップを踏んだりと実にご機嫌なサッチ隊長は嬉しそうに去っていった。

とてもとても、それはまあ頼りがいのあるマルコ隊長。この人が居なければこの船は成り立たないんだろうなあ。

『…』

あのキス未遂事件。先日守ってもらったお礼にと粗品すぎる不格好なミサンガをプレゼントすると、突然抱き寄せられて、それから…

『…って！何思い出してんだ！』

邪念を払おうと頭を振って無理矢理忘れる。あの日以降、まともにマルコ隊長の顔を見ることができずにいた。

今日だって島への上陸を報告するマルコ隊長の涼やかな顔に動悸が止まらなかった。

自分のマルコ隊長への邪な思いに気付いてしまってからというもの、いつでもマルコ隊長の事を考えてしまうほどに私は浮かれポンチ野郎に成り下がってしまった。

せめて仕事ぐらいはしっかりしないと。この船から追い出されちゃう。

『よし！やるぞ！』

島で調達する物のリストを作るために頬を叩いて気を引き締めた。

まずはソーダとレモンジュース、それから果物をいくつかとウイスキー、ワイン、コーヒーリキュールにラム酒…

『あっ、そう言えば…』

冷蔵庫の奥に眠る瓶。そこにはラム酒がほんの少し残っていた。

私に懸賞金がついたあの一件。あの時助けてもらったお礼に渡すはずだったそれは主に渡ることはあるのだろうか。

可能性は薄いはず。それでも何故かまた会えるような気がして捨てられずにいた。

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