Drunken Whale (ページ31)

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赤髪の男9 ページ31

(side You)

『あの、マルコ隊長？もしかしてお知り合い…』

マ｢知り合いも何も、そいつは四皇、赤髪のシャンクスだ｣

四皇…？と言うと、親父さまのように新世界の海を統べる海賊…

『えっ、ええっ！？そんな！まさか！！』

マ｢敵船ってのはそいつの、赤髪の乗るレッドフォース号だよい｣

そう言えばシャンクスさんの船は別の港にあるって言っていたような…そうか、旅の者って、海賊だったんだ。それならあの強さも納得だ。

マ｢お前も海賊の船に乗ってるんだ、四皇の特徴ぐらい覚えとけよい｣

『うっ、すみません…』

マ｢…それにしても、赤髪に会って無傷なんて、ほんとに幸運なやつだよい｣

バーにつき樽を下ろしたマルコ隊長はそう言いながら私の頭を撫でた。その表情は呆れたような感心したような複雑なものだ。

『あっ、運んでいただきありがとうございました！その…ご迷惑をおかけしました』

マ｢無事なら良いんだ。お前がいねえといい酒が入らなくて親父が拗ねちまうからねい｣

『ふふ、それは困りますね』

マ｢ああ、だから、もう1人でどこかに行くのはやめてくれよい｣

私の頭を撫でながらマルコ隊長が目を細める。優しい手付きは言い聞かせるみたいにゆっくり動く。

『はい！』

マ｢よし、いい返事だよい｣

最後にひと撫でしてマルコ隊長は去っていった。

ーーー

昨日島に着いたばかりだが、敵船を見つけたモビー・ディック号は昨日の夜から島を経っていた。

次の朝。朝食を食べる私の元にドタバタと騒がしくサッチ隊長が駆け寄ってくる。

サ｢A！！お前、島で何したんだ！？｣

『びっ、くりした…どうしたんです、サッチ隊長…』

サ｢これを見ろ！お前、とんでもねえ事になってるぞ！｣

そう言ってサッチ隊長が広げたのは1枚の手配書。そこにはWANTEDの文字と間抜けな顔をした私の写真……

『っ！！？な、なな、なんですかこれー！！』

サ｢それはこっちが聞きてえよ！｣

手配書には私の名前と懸賞金50ベリーの文字が。

『…って！50ベリー！？』

や、安い…っ！私の命はたった50ベリーか…！

周りにいたクルーがそのヘナチョコな懸賞金を見て笑い転げる。笑い事じゃないぞ。

サ｢クソ海軍め！俺らの可愛い妹にバカみたいな懸賞金かけやがって！｣

プリプリと怒るサッチ隊長。後で分かった事だが、私が樽をぶつけた相手は海軍大佐の一人息子だったらしい。あながち父に泣きついたのだろう。冗談じゃない。