Drunken Whale (ページ22)

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おつかい3 ページ22

(side You)

しかし私がその身に誇りを刻むことに兄弟達は猛反対。特にマルコ隊長はその話をする度に機嫌を悪くして眉を顰めるほど。親父さまもいい顔はしなかった。

自分はまだこの人たちに認められていないんだと痛感して、それはそれは落ち込んだ。確かに私は戦闘もできなければ治療もできない。航路を考えることも楽器を弾くことすらできない。

できるのはただ少し酒に対して鼻が効いて、ほんのちょっと料理ができるくらいのもので、そんな人間がこの船に乗っていられるだけで奇跡に近いものがある。

半ば諦めていたそのマーク、私の憧れが刻まれたブレスレット。

指でなぞって、近くで見つめて、光に照らして、何度も何度も確認する。どんなふうに見ても白ひげのマークは揺るがずにそこにある。

マ｢昔よく、彫りてえって言ってたろい？…でも、やっぱり俺たちゃお前の体に刻むのは反対だ…俺たちゃお前の事を家族だって認めてる。だからお前を傷付けたくねえだけなんだ、それで妥協してやってくれねえかい？｣

照れ臭そうに微笑むマルコ隊長。長男として皆の思いを代表しての言葉だろう。まだあの頃、若かった自分には分からなかったが、今では仲間の思いがよく分かる。

自分は戦えもしない女で、いつかこの船を下りる日が来るかもしれない。そんな私に消えない傷を負わせたくなかったのだ、ただそれだけ。

しかしその思いの大きさが、家族として大切にされているという実感となり胸に深く深く刻まれる。不器用な彼らが精一杯届けてくれたこのブレスレットは、何物にも変えられない、私の誇りになるんだ。

堪らずぎゅっと手首を抱え込む。目に熱いものが込み上げてくる。

マ｢お、おい、大丈夫かよい｣

急に手首を抱え込んで泣き出した私をマルコ隊長は慌てたように見詰める。

マ｢重かったか？悪ぃが女物なんて分からなくてよい…｣

マルコ隊長は割れ物を扱うみたいに優しく私の背を撫でて、言いづらそうに言葉をもらした。

『んっ、ふふ、違うんです…嬉しくって…ありがとうございます…！』

大切に手首を抱え込む。彼らの不器用な優しさがたまらなく愛しい。

『一生、大切にします…！』

ようやく顔を上げて精一杯の笑みで感謝を伝えると、マルコ隊長も満足げに微笑んで優しく私の頭を撫でた。

大切にしよう、ずっとずっと。この誇りがあれば、私はきっと強く生きられる。

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