Drunken Whale (ページ18)

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恋のトライアングル5 ページ18

(side You)

夜に向けていつも通りグラスを磨いていると、急にバーの扉が開かれ、切羽詰まった表情のマルコ隊長がカツカツと歩み寄ってきた。

どうかしたのかと声をかけてもマルコ隊長は答えずにそのまま近づきグラスを磨く私の手を取って引き寄せた。

いつも余裕のある大人な顔のマルコ隊長、こんなに焦った表情で近づかれると思わず胸が跳ねる。

荒い息も、しっかりと私を見詰める視線も、腕を掴む手の熱さも、何もかも色っぽい。

マ｢他の奴らから、何を聞いても、俺の言葉だけを信じてくれよい｣

途切れ途切れで熱を帯びたその言葉。なんだか愛の言葉でも囁かれているみたいに恥ずかしくなってくる。

突然どうしたというのだろう。他の奴らからとは一体…

そういえば、イゾウ隊長に新メニューの事を話したような。そこではまずマルコ隊長とサッチ隊長に飲んでもらいたいと言ったような…

グルグルと考えていると何やら熱くなって言葉を続けるマルコ隊長。もしかすると新メニューの事を聞いてやってきたのかも。

『…あっ！もしかして、新メニューのこと、もうお耳に届いたんですね！』

マ｢そう、俺はいつだって新メニュー…ん？｣

やっぱりそうだ。自分の新メニューをこんなにもマルコ隊長が楽しみにしていてくれただなんて、なんだかすごくすごく嬉しい。

『ふふ、さすがマルコ隊長！つい先日完成したんです！御協力いただいたのでぜひマルコ隊長とサッチ隊長に初めに飲んで頂きたくって！』

思わずにやにやとしながら誘ってしまう。まだ日は高い。きっとマルコ隊長もお仕事が残っているはずだ。せっかくなら気兼ねなくのんびり飲んで貰いたい。そう思うと今夜は俄然、やる気が出てきた。

私の腕を掴んだまま、マルコ隊長はポカンとしている。何か変な事でも言ってしまったのだろうか。

マ｢…ふふ、そうか、分かったよい、ありがとねい｣

するとまた突然クスクスと笑いだし腕を離したマルコ隊長。そのまま優しく私の頭に手を置いてふわふわと撫でる。とても優しい手つきは心地よくて。

安心したような顔で｢また夜に｣と一言残し、マルコ隊長は去っていった。いまいち噛み合っていないような会話だったが、マルコ隊長のあの顔を見ればなにやら解決したようだ。私は気合を込めてカクテルグラスを2つ、ピカピカに磨いた。グラスに映る私の顔はふにゃふにゃとにやけていた。