Drunken Whale (ページ13)

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秘密の取引ページ13

(side You)

イ｢A…例のブツは…？｣

不敵な笑みを浮かべて男はカウンターに腰掛ける。

『滞りなく…こちらですぜ』

辺りを確認しつつゆっくりと冷蔵庫の奥からソレを取り出す。何でもないグラスに注ぎ匂いを確認。そのまま男の前に差し出す。

イ｢ふっ…何でもねえ顔しやがって、まったく悪い女だぜ｣

男はグラスに鼻を近づけ匂いを確認する。確かに、と呟いて小さく一口だけ口にする。

イ｢こりゃあ上玉だ…誰にも見られてねえだろうな？｣

『もちろんですよ』

イ｢ありがとうよ、ほら、礼だ｣

不敵に微笑む男は小さな縦長の紙袋を差し出す。

『毎度あり』

中を確認して私もニッと笑みを浮かべる……

イ｢…って｣

『何なんですかね、これ、ふふ』

クスクスと顔を合わせて笑い合う。イゾウ隊長はたまにやってきてこういう遊びに付き合ってくれる。

バーに来てもほとんどワノ国のお酒を飲んでいるイゾウ隊長。時たま仕入れるそれを楽しみにやって来るのだが、いいかげんマンネリになっていた流れを嫌がって時たまこうしたおふざけが繰り広げられる。

ちなみに先程貰ったお礼袋にはキッチンからくすねてきた上物のシュガースティックが数本入っていた。これもまたバレたらサッチ隊長がうるさそうだ。

イ｢そういや、新メニューを考えてるそうじゃないか、良いのは思いついたかい？｣

『それがなかなか難しくて…』

サッチ隊長に頼まれて考えている新メニューのカクテル、テーマは"恋"だ。

イ｢サッチのやつもずいぶん臭いこと頼みやがる｣

『イゾウ隊長～、恋って何でしょう、考え過ぎてもうわかりません』

暇さえあれば考えてみたが、どうにもピンとこない。

イ｢お前さんは今、恋してないのかい？｣

『恋かあ…』

恋なんて何年していないだろう…

少し考えた頃にポカンと1人の顔が浮かんだ

『……いやいや、そんなまさか』

イ｢その様子じゃ気になる男でもいるみたいだな｣

いたずらっ子の顔で食いついてくるイゾウ隊長。

『違いますよ！そんなんじゃないです』

毎日のように見かける、特徴的な髪型に気だるげな目元、どこか色っぽい雰囲気をまとうその人。

(いや。いやいやいや、それはない)

自分のような人間に手が届くような人ではない。彼はもっと上、空高くを自由に飛び回る。

『……って！そういうんじゃないですってば！』

イ｢ふふ、今日のAは百面相だな｣

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続きません、ほんわか回～