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降谷




「ありがとう!好き!」

「俺も好きだ。笠崎」

「だから何でお前らはいつも僕のことを観察してるんだ!」

またも始まった松田と萩原のコントに僕は怒鳴った。

「第一、お前らは映画に行ったんじゃないか!」

「降谷が戻るって聞いて萩原と戻って来たんだよ」

「友の一世一代の告白を見ない訳にはいかないから。な、松田」

「くそ、なんで僕はこうお前らの気配を感じられないんだ」

「目の前に姫君がいるから」

「コロス」

声を揃えて言う二人をギンッと睨めば、ワーワー叫びながら出て行った。一人になった部屋で僕はベッドに仰向けになる。

(ハムサンドって…)

僕自身に女子高生かとツッコミをいれる。

いい大人になった男が好きな女性にハムサンドなど贈って、DT感丸出しではないか。

「仕方ないだろ」

脳裏には僕におずおずと絆創膏を差し出す笠崎の姿が浮かぶ。

警察学校に配属されたての頃から僕は生傷が絶えなかった。
何をしてもそつなくこなす僕に上官は、下手な人と組ませた。道術で下手な奴と組むイコール怪我をするということなのだが、降谷なら大丈夫だろうという無責任な発言で下手な奴の指導もすることとなった。骨折こそしなかったが、生傷が絶えなかったのはそういうことだ。

ある日笠崎と鉢合わせした。僕は彼女のことを知っていたが向こうは知らなかっただろう。廊下の曲がり角でぶつかりそうになり互いに謝る。頭を下げ横切ろうとしたところ、笠崎が「あの」と声をかけてきた。

「何か?」

「怪我、してる」

「ああ舐めとけば治るよ」

「良かったらこれ」

震える手で差し出される、キャラクターがプリントされた可愛らしい絆創膏。
僕は素直に受け取ると、笠崎は言った。

「早くよくなりますように」

その笑顔に僕は恋に堕ちた。

それ以来あの時の笠崎の笑顔が頭から離れない。

(DTか…)

いつもなら発揮される紳士らしい女性の対応も不思議と笠崎の前だと上手く出来なくなる。

(それほど好きってことか?)

否と僕は首を左右に振る。

僕は彼女は作らない。そう決めたのだ。



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世界の髪飾り(プロフ) - すっごく面白かったです…ありがとうございました! (2019年5月21日 20時) (レス) id: c72ec400e1 (このIDを非表示/違反報告)
四面楚歌(プロフ) - 完結、おめでとう御座います!楽しく読ませて頂きました! (2019年5月19日 9時) (レス) id: 0dcecdf2b2 (このIDを非表示/違反報告)
堰白(プロフ) - 完結おめでとう御座います、とても面白かったです! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 232eaea278 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - とても面白く見させていただきました!!ありがとうございました!!! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - 美咲さん» とっても嬉しくて、何度も何度もこのコメント読んでました(笑)執筆頑張ります(^^)ありがとうございます(∩´∀`∩) (2019年5月9日 17時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年5月4日 20時

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