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剣道は苦手だ。

理由は分からない。

運動神経は良いと自負しているのだが、剣道は妙に苦手だった。

私の練習の姿を見た諸伏くんは困ったように眉根を寄せ言った。

「笠崎は射撃の選手なんだから、剣道なんて必要ないんじゃないか?」

「…下手と?」

「まあ下手だね」

「というか私、オリンピック出ないから」

「え、出ないの?六年前に出場して銀メダル取って、二年前は金。二年後は二連覇がかかってるじゃないか」

「私がなりたいのは警官で金メダリストじゃないから」

「変わってんな〜」

「警官になりたくて射撃始めたけど、機動隊になるなら剣道しとくんだった」

「なんで機動隊?」

「…秘密」

「ふ〜ん。警官になりたくて剣道教えて欲しいなら、降谷に教えを乞うことを薦めるけどな」

「それはちょっと…」

「なんで?」

すっと俯く。

面を着けたままで良かった。顔が赤いとバレてないだろうか。

「降谷が射撃で上位だったからとか?それなら笠崎が警官になりたい気持ちってその程度なんだな」

「警官になりたいから教えて貰わないのよ」

意味が分からないと、諸伏くんは顔を顰める。

「……好きな人に教えて貰ったら、集中できない」

しばしの沈黙。

チラリと諸伏くんを見れば、天を仰ぎ手で目を覆っていた。

「え?何、何?」

「尊いってこういう意味か?」

「は?」

「分かった、俺が頑張って教えるから。コサックダンスみたいなすり足も何とかするから」

「コサックダンス………じゃなくて、言わないでよ?秘密よ?」

「約束だ!」

何故か涙を流しながら爽やかな笑顔で親指を立てる諸伏くんに、正直に話した数秒前の自分を呪った。

(変な人…)

あまり関わらないでおこうと誓ったのだが…

「笠崎が剣道を身に着けたら、降谷をデートに誘えよ」

「は、え、なんで?」

「師匠命令だ」

「師匠?というか伊達くんが帰ってくるまでの数回でしょ?」

「伊達がお前の剣道見たら、足が擦り切れるほどすり足の練習だぞ」

「…」

「俺なら論理的に教えられる!」

「よろしくお願いします」

こうして私は諸伏くんの弟子になった。




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世界の髪飾り(プロフ) - すっごく面白かったです…ありがとうございました! (2019年5月21日 20時) (レス) id: c72ec400e1 (このIDを非表示/違反報告)
四面楚歌(プロフ) - 完結、おめでとう御座います!楽しく読ませて頂きました! (2019年5月19日 9時) (レス) id: 0dcecdf2b2 (このIDを非表示/違反報告)
堰白(プロフ) - 完結おめでとう御座います、とても面白かったです! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 232eaea278 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - とても面白く見させていただきました!!ありがとうございました!!! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - 美咲さん» とっても嬉しくて、何度も何度もこのコメント読んでました(笑)執筆頑張ります(^^)ありがとうございます(∩´∀`∩) (2019年5月9日 17時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年5月4日 20時

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