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降谷




「結構です!だってよ」

ニヤニヤと口元を緩ませながら、萩原が僕の肩に腕を置く。松田も萩原と同じくニヤと笑い、僕をからかう。

「嫌われてんな。何したんだ?」

「何もしてない」

「何もしてないのに片思いの相手に嫌われるなんて」

わざとらしく萩原がひえぇと叫ぶ。

「コロす」

「ま〜た喧嘩して。どうしたんだよ」

眉尻を下げヒロがやって来た。怒る僕の前に立ち、宥める。

「人の不幸は蜜の味」

松田が言う。

「はあ?」

「ゼロは姫君に嫌われてて、傷心中なんだよな?」

「萩原マジコロス」

怒る僕の横で、へー!ふ〜ん!と楽しそうな声。見ればヒロが目をキラキラさせ、フンフン鼻息も荒く興奮した様子で僕を見ている。

「あの子か!射撃の!岡崎!」

「否、笠崎」

「可愛いよな〜」

しみじみに言うヒロに対し、萩原と松田は声を合わせ

「ライバル登場」

とヒロを指差す。

「というか、笠崎より久野のが可愛いだろ」

松田が言う。

「笠崎は顔は綺麗だけど、無表情だしな」

これは萩原。

「ああ言うのをツンデレって言うんだろ?」

「なんか諸伏、将来が心配!違うよ、ツンデレって言うのはもっとこう」

萩原がツンデレについて必死に説明する中、松田が僕に問いかける。

「笠崎のどこが良いんだ?」

「…言う訳ないだろ」

その時、伊達の声が廊下に響く。

でかい図体が小柄な女性にへこへこ頭を下げていた。

「頼むっ!射撃を教えてくれ」

「なんで…」

嫌がるように女性が一歩下がる。彼女は笠崎だった。

「何かひとつは降谷に勝ちてえんだ!」

「…」

「頼むっ」

「…良いけど、その代わり」

伊達が顔をパァッと明るくさせる。

「剣道、教えて」

「よし!交渉成立」

「えぇぇぇぇえ!!!」

萩原が綺麗な顔を歪め、僕に突っかかる。

「笠崎、伊達に教わるのも嫌がってたのに?!」

「なんだよ、それほど僕が嫌われてるって言いたいのか」

「ゼロ…」

「その同情する目はヤメてくれ!」

「伊達みたいなタイプに美人はコロリとやられたりするよな」

そう言う松田の視線の先には剣道の成績表が貼り出されていた。

笠崎の名前は一番最後にあった。



.

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世界の髪飾り(プロフ) - すっごく面白かったです…ありがとうございました! (2019年5月21日 20時) (レス) id: c72ec400e1 (このIDを非表示/違反報告)
四面楚歌(プロフ) - 完結、おめでとう御座います!楽しく読ませて頂きました! (2019年5月19日 9時) (レス) id: 0dcecdf2b2 (このIDを非表示/違反報告)
堰白(プロフ) - 完結おめでとう御座います、とても面白かったです! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 232eaea278 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - とても面白く見させていただきました!!ありがとうございました!!! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - 美咲さん» とっても嬉しくて、何度も何度もこのコメント読んでました(笑)執筆頑張ります(^^)ありがとうございます(∩´∀`∩) (2019年5月9日 17時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年5月4日 20時

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