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2年前
茹だるような暑さだった。
ここは砂漠かと思うほど暑くて死にそうだ。
汗を頻繁に拭きながら店に向かっていると、チリリンと涼やかな鈴の音と「ありがとうございました」と爽やかな店員さんの声がした。
あぁっと息を吐き立ち尽くしていると、見た目も爽やかな店員さんと目が合ってしまう。
イケメン!イケメン苦手!と今にも逃げだしそうに腰を引けば、彼は私に向かってニッコリ微笑む。
「暑い中、お仕事大変でしょう?」
「いえ、全然。仕事ですし」
「宜しかったらアイスコーヒー飲んで行かれませんか?」
「あー是非」
イケメンは苦手だ。だがやはり、喉の渇きには耐えられない。
店内は空調が効いていて涼しかった。ほうっと思わず息が零れる。
お好きな席にどうぞ。と言われたので、カウンターに座る。
「アイスティもありますよ」
「う〜ん…アイスコーヒーで。コーヒーの方が好きなんです」
「僕もです。コーヒーのあの苦さ。堪らなく好きなんですよね」
店員さんはグラスにたっぷりの氷を入れると、そこに熱いコーヒーを注いだ。ピキピキ音を立て氷が溶けていく。カラカラ氷が崩れる。
「お待たせしました」
ストローと一緒にアイスコーヒーが差し出される。
チューと一口。ちょっとずつ飲むはずが、ゴクゴク喉を鳴らし、全て飲み干してしまう。
「ぷはぁ!」
「良い飲みっぷりですね」
「すっごく美味しい!もう一杯頂けますか?」
そうグラスを差し出すと、グ〜っとお腹が鳴った。恥ずかしくなって体を折る。
「軽食ならありますけどお召し上がりになりますか?」
「オススメは?」
「ハムサンドです」
「じゃあそれを」
「畏まりました」
二杯目のアイスコーヒーを飲みながら、オススメのハムサンドを待つ。また此処に来よう。そう思いメニューを開くとラストオーダー2時30分の文字が目に入る。時計を見る。既に3時前。
「ラストオーダーの時間過ぎちゃってます!」
「あぁ良いんですよ。今日はお客さんが居なくて暇だったんで」
「でも休憩時間とか」
「んー…ならご一緒して構いませんか?」
「勿論です」
「パスタでも作ろうかな」
料理をする彼を見て出た言葉が、
「結婚して欲しい」
だった。
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明里香(プロフ) - 9話に誤字がありました。「得な事情」ではなく、「得ない事情」です。 (2019年6月3日 10時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - 初めてのストーリーの指摘ですみませんが、8話のヒロインと零さんの会話でヒロインが話してる「ポアロで料理をする」が「アポロで料理をする」になってますよ(#^.^#) (2019年5月27日 2時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - 主人公と子供には幸せになって欲しいって思ってたのでハッピーエンドで良かったです、バッドエンドだったら読むのやめちゃうとこでした(´△`) (2019年5月20日 15時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ぷぅさん» バッドエンド書けない人間なので、ハッピ−エンドです!! (2019年5月20日 6時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - さちさん» 頑張って更新しますね(^^) (2019年5月20日 6時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月18日 23時