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「おい、赤葦」
「なんですか、黒尾さん」
「Aは女子を誘うって言ってたよな?」
「言ってましたね」
「前から来てるの、Aだよな?」
「はい。Aさんです」
「隣に居るのは、噂の彼氏じゃないのか?」
「いえ、米沢麻緒ちゃんです。女子ですよ、女子」
「竹内○真の間違いじゃねえの!?」
「竹○涼真ではないです。Aさんの前で言わないで下さいよ、怒って帰るかもしれないんで」
約束のデート当日。俺は黒尾さんと待ち合わせ場所の駅に居た。十数メ−トル先には、Aさんと米沢の姿がある。
俺達に気づくと、Aさんはピョンピョン跳ねて手を振り、米沢と共にやってくる。
黒尾さんを連れて来たことでAさんは残念がるかと思いきや、「赤葦くん、聞いてよ!」とプリプリ怒り出す。
「麻緒ちゃん、いつものこんな格好なんだよ!?どう思う?デートなのに!!デートなのにだよ!!」
「悪うございました」
ツ−ンと唇を尖らせ顔を背ける米沢に、ム−ッと眉間に皺を寄せるAさん。
あ、Aさん可愛い。なんて思っていると、隣でパンパンと二度手を叩く音がする。
「とりあえず、俺の紹介してくれるかな?」
「あ、バレー部の黒尾さん。大学は違うんだけど、よくしてくれる。けど基本、性格悪い人だから気をつけて」
「ちょっと赤葦くん。よくしてる先輩にその言い方はないんじゃない?」
「すみません、間違えました。前言撤回です。よくしてるのは俺の方です」
「赤葦くん、いっつも木兎さんの世話してるけど黒尾さんが来たら色んな意味で倍大変」
黒尾さんが文句を言う前に、Aさんがそう補足してくれる。米沢は興味なさそうに「ふ〜ん」と呟いて、ペコりと頭を下げた。
「米沢麻緒です。Aの幼なじみの。こう見えて女です」
「よろしく」
「じゃあそろそろ行きましょう!レッツ、ネズミランド!」
ルンルンと足を浮かせて、Aさんは先に駅の中へと急いでいった。
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セラ - 待ってました!更新楽しみにしてます! (2018年8月31日 3時) (レス) id: c2cc5f8c38 (このIDを非表示/違反報告)
takapyon(プロフ) - おかえりなさい!!待ってました。 (2018年4月30日 3時) (レス) id: fdf4a11902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年4月29日 22時