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それでいい。多くは望まない。
今まで通り、狂ってるのか狂ってないのか、パリなのかソウルなのか、過労死寸前のパスポートを握って機内で眠ればいい。
ドームに、スタジアムに、いっぱい詰まった人たちを見て、「あいしてる」と言う。それは本当の言葉だ。
ほんとの言葉。だから苦しくないはずだ。
忘れたことすら忘れられる。そうやってすぎてゆくことだらけなんだと、俺は知ってきたんだ。舞台の上で、生きていく中で。
「..........お前は、変じゃないよ」
ジミナは離れない。
ここはどこだっけ。楽屋？宿舎？ホテル？今は何時だっけ。
「................お前が言えないことならもう僕は聞かない。でも、お前が感じてることに、誰も間違ってるとか、正しいとか言えないんだよ」
わかるでしょ？
ジミナはそう言って俺を見上げた。
どんなに俺が、言葉が出なくても、ジミナはいつも俺の側から、俺が話し終わるまで離れなかった。
耳に引っ掛かり辛い俺の話を、じっと聞いてくれた。じっと聞いて、誰かに伝えてくれた。たくさんの言葉に埋もれても、ジミナの手が引っ張り上げてくれた。
練習生の時も、デビューしたばっかりの時も、ヒョン達がみんな泣いてた時も、バラバラになりかけた時も。
ここ、どこだっけ。
ものすごく眠たいけど、時間がわからない。明日は何時に起きるのかも。
「ジミナ、テヒョンア、行くぞ」
奥の扉からホソギヒョンが顔を出した。
白いTシャツにズボン。ジミナも俺も、お揃いの格好をしてる。
「テヒョンア、行こう」
手を引かれる。ジミンのもう片方の手には、マイク。俺の手にもある。
扉から出ると、暗くて天井の低い空間。
歓声、轟音、地響きのような振動。
ここはライブ会場だ。手のひらには英語のコメントがにじんでいるから、外国。それで、今アンコールだ。
ジミナに手を引かれるまま、乗って、歩いて、手を振って、走って、歌って。
楽しいのに、嬉しいのに、幸せなのに、全て遠くで起きてるような気がした。
どこへ言っても、何を見ても、耳にも目にも不透明なフィルターがかかったみたいだった。いつから？いつからだったのか、今気づいたのか、今そうなったのかもわからない。
テヒョン、と俺の名前を呼ぶたくさんの愛しい声のなかに、俺が探してるものがないことだけ、わかった。
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みうみう(プロフ) - 途中で何度か泣きそうになりました。ふたりの続きが読みたいです！公開される日を待っています (2022年12月18日 14時) (
レス) @page50 id: 1630532606 (このIDを非表示/違反報告)
さちか(プロフ) - 初めまして！すごく面白くて一気に読んでしまいました！パスワードはどうしたら教えていただけるのか知りたいです！お願いします！ (2022年1月4日 17時) (レス) id: 5256a55c8d (このIDを非表示/違反報告)
みらの(プロフ) - すみません！誤字りました！気になるのですが、パスワードってどうやったら教えていただからのでしょうか？ (2021年10月25日 22時) (レス) id: 5afcca0842 (このIDを非表示/違反報告)
みらの(プロフ) - こんにちは！凄く面白くてすぐ読んでしまいました！続きが鬼になるのですがパスワードを教えていただいてもいいですか？ (2021年10月25日 22時) (レス) @page50 id: 5afcca0842 (このIDを非表示/違反報告)
Dtpnjtwtvmt(プロフ) - 続編がパスワード……オーマイガーどうしよう (2021年10月12日 2時) (レス) @page50 id: e5b6025cac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すばる | 作成日時：2020年7月2日 18時
