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それは、本当に、突然視界に入ってきた。
仕事は鬼のように詰まってて、今日、明日、どこの国で、何語を喋って、何をするのかもよくわからなかった。
でも笑えばみんな笑うし、歌えば、表情を作れば、踊れば、望み通りの反応が返ってきた。
どこの国の女の子たちも、たまに男の子たちも、みんな、俺を見て笑ったり泣いたり声を上げる。
だから余計にここがどこかわからなくなるし、終わってホテルの部屋の電気をつければ途端に、荷物を全て落としてしまった旅行者みたいな気分になる。
何もない、温度も、記憶も。
ただ漠然とした、太陽より眩しくてキラキラした感覚だけが、疲れた身体を通して伝わってくる。
サイン会だった。
その日は韓国で、カムバ記念のサイン会で、長机にみんなして並んで座ってた。
水のペットボトルとマイク、それと手渡される被り物とペンと、柔らかくて汗ばんだ手をローテーションみたいに握って、笑って、相槌を打って、ありがとう、と言った。
最近知ったの、韓国語勉強しました、Dangerの時からファンだったの、推しはジミナ、ヌナって呼んで、オッパ、ぽっぽして。
ふわふわした質感で紛れもなく自分に向けられる言葉は、どこか上ずっていて。
それがもともとそうなのか、そう感じてしまうのか、もう自分がそうなってしまったのか、見当もつかなかった。
いつだってアミの話は面白い。聞いていたい。もっと聞かせて、好きだよ。
そう思ってるのが、どこまで自分なのか。
愛犬のいる家に帰って眠りたい、ただ自分をよく知る人と話をしたい、どこか遠くへ行ってしまいたいのが自分なのか、わからなかった。
「わからない」という言葉が、自分の思考の全てを止めてしまっていた。
わからないなら考えたって仕方がない、置いておこう、と。
サイン済みのアルバムを横のホソギヒョンに回して、反対のジョングクの手元から新しいアルバムをスライドしようとして、ふと、質感の違うものが手に触れた。
手元に目線をやると、それは手のひらサイズのスケッチブック。開かれたページには、几帳面なハングルで
「耳が聞こえません」
と書かれていた。
またか。
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みうみう(プロフ) - 途中で何度か泣きそうになりました。ふたりの続きが読みたいです！公開される日を待っています (2022年12月18日 14時) (
レス) @page50 id: 1630532606 (このIDを非表示/違反報告)
さちか(プロフ) - 初めまして！すごく面白くて一気に読んでしまいました！パスワードはどうしたら教えていただけるのか知りたいです！お願いします！ (2022年1月4日 17時) (レス) id: 5256a55c8d (このIDを非表示/違反報告)
みらの(プロフ) - すみません！誤字りました！気になるのですが、パスワードってどうやったら教えていただからのでしょうか？ (2021年10月25日 22時) (レス) id: 5afcca0842 (このIDを非表示/違反報告)
みらの(プロフ) - こんにちは！凄く面白くてすぐ読んでしまいました！続きが鬼になるのですがパスワードを教えていただいてもいいですか？ (2021年10月25日 22時) (レス) @page50 id: 5afcca0842 (このIDを非表示/違反報告)
Dtpnjtwtvmt(プロフ) - 続編がパスワード……オーマイガーどうしよう (2021年10月12日 2時) (レス) @page50 id: e5b6025cac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すばる | 作成日時：2020年7月2日 18時
