TALENT 1 ページ12
SIDE RM
Aはいつか、俺たちと違う道を選ぶんじゃないか。そういう思いは実は練習生の頃からずっとあった。Aの立場、というかこのチームでの存在意義のあり方のせいで、実は誰もAとそういう真面目な話をできないままデビューしてしまったから、今余計にそれが怖く感じるのかもしれない。
今日は初めてのバラエティ番組の撮影で、みんな緊張が隠せない。台本を繰り返し読んだり、落ち着かなくて楽屋をウロウロしたり、衣装を何度も確認したり。別に大きな番組じゃない。深夜帯の、時間だって30分ほどの番組。新人アイドルを紹介しつつ、軽く個性を見せるためにいくつかのゲームをする、そんなありふれた番組。
俺たちがアイドルを夢見てテレビを眺めていた間、何度も見たような。
そう思うと何やら不思議な心地がして、余計浮き足立つ。
「A、いけるか?」
焦ったようなマネージャーの声を嫌でも耳が拾ってしまう。さっきから何度も聞いた言葉がまた繰り返されている。
『………えっと、』
この返答も数度目。
俺たちがやる今日のゲーム、進行、CMなどのタイミング。それが書かれているのが台本で、それは事前にメンバー全員に配られている。
にもかかわらず、Aはそれを覚えられない。出演者の名前も、立ち位置も、何度やっても間違える。
確かにAは普段からダンスの覚えも一番遅いし、名前と顔を一致させるのも苦手だ。だけどそれがバラエティの収録現場でも同じように発揮されるとは思わなかった。
台本はそこまで複雑じゃないし、出演者だってメジャーな人物ではないけれど、覚えにくい名前でもない。
「しっかりしてくれよ、ここ、お前がきっかけで入るんだぞ」
『わ、分かってます……えっと、うん、覚え、ました…………?』
「だああもう、ここは誰にも代わってもらえないんだぞ。せめてここだけは覚えてくれ」
『そんなこといたって、僕、暗記は苦手で…』
さっきからほとんど会話の内容は進展がない。このやり取りを聞くメンバーも、緊張と不安も相まってだんだんイライラしてきてしまう。
JM「じゃあ、僕が言いますよ、ダメなんですか?」
「いや、ここはAがやらないと…」
『っ僕、できます!』
JM「でもさっきから全然だめじゃん」
ジミンはきっと、Aのことがかなりの部分で気にくわないんだと思う。
次ページ⇨
1965人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
watanuki - すばるさん» まだ始まったばかりだけど、採用していただきありがとうございます!もうワクワクが止まらない笑笑 (2019年7月23日 19時) (レス) id: 398ac4b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - watanukiさん» リクエストありがとうございます!女体化楽しそう....! (2019年7月22日 13時) (レス) id: 7eb248740d (このIDを非表示/違反報告)
watanuki - リクエストいいですか?主人公が女体化する内容が見てみたいです(?)。あと、このお話ものすごく楽しませてもらってます!あ、その女体化した時の身長はジミンちゃんくらいがいいです。170近く?まあ超えるくらいがいいです。よろしくお願いします! (2019年7月22日 7時) (レス) id: 398ac4b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - (名前)さん» 早速ありがとうございます!演技のお話考えてみますね!! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 345011fa2c (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - やっぱり演技の話見てみたいです! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 993ddb6aa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すばる | 作成日時:2019年5月21日 23時