Brilliant blue【O】 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,577 hit

6 ページ6

柔らかい雰囲気だからか、
優しい口調だからか、

驚くほどのスピードで
周りと馴染んでいく大野さん。

「おやっさん、そろそろ大野くんの料理出してもいいんじゃないですか？」

「そうですよ～大野さんの料理、常連さんにも好評だったし！」

まだ、1週間。
大野さんがココに来てそれだけしか経ってないけど、金谷さんをハジメ、厨房で働く人からの信頼を得てる。

「でもな……」

チラッと私の方を見るおじいちゃん。

「私はいいと思うよ？」

見た目はもちろん、大野さんに刃を入れられた刺身はとても美味しかった。

「ん…じゃあ、テストをしよう。」

「え？テスト？」

必要ないんじゃないか？なんて声も上がったけど

「分かりました。精一杯やります。」

その大野さんの一言で場は治った。

テストは二日後。
刺身のお造りを2パターン。

今出してる小さい舟と大きい舟用のお造り。

私も必要ないとは思うんだけど、
体裁上、おじいちゃんも一応しときたいだけなんだと思う。

．

「大野さん、気にしないでね？」

「え？なにが？」

包丁を研いでる大野さんに話しかけた。

「いや、おじいちゃんのこと、」

「ん？」

「テストとか言ってたけど、大野さんの腕を認めてないわけじゃないと思うから。」

「あぁー、気にしてないよ？
逆にちゃんとテストしてもらった方がうれしいし。」

「え？」

「自分の腕にそんな自信持ってる訳じゃねぇの。」

「そうなんですか？」

あんなに綺麗なお造りを作るのに
自信がないなんて……

「うん。だからテストしてもらえて嬉しいよ。」

「そ、うですか…」

「ごめんね、こんな遅くまで厨房使って。」

「いや、そんな何時まででも使って下さい！」

「ふふっ。ありがとう。」

不思議なところは多いけど、
いい人。

優しくて、嫌な感じがしなくて、

「あ、ご飯作っといたから食べてね。」

温かい人。