Brilliant blue【O】 (ページ1)

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「おじいちゃん！危ないって！」

「ワシをじじい扱いすな！」

杖を使いながらも背中をピンと張って確かに75歳にはみえないけど、
腰も足も痛めてるのに、、、

「ワシが厨房出ないで誰が出るんだ！」

「だから、それは金谷さんがいるでしょ！」

「金谷だけで回せるもんでない！」

腕を引っ張っても振り払われる。
こんの頑固じじいめ、、、

「だから、他の板前さん頼んだんだって」

「知らん！そんなどこの馬の骨か分からん男にワシの厨房はやらん！」

それを言うならムスメはやらん！でしょ。

「もう、とりあえずダメ！大人しくしてて！」

お年寄りの扱い方じゃないけど
力づくで引っ張って座敷のリビングへ連れて行く。

「ここで座ってて！」

「ワシの料理じゃないと客は満足せんぞ！」

ムスーッとしたおじいちゃんを放って着物に着替える。

もうここに来て7年くらい経つかな。
大学の時に父と母が離婚して、
母の実家に一緒について来た。

結婚する際にお母さんはおじいちゃんに縁を切られてたから、
最初は大変だったけど
お母さんが体調を崩したことを聞いたおじいちゃんはやっと折れて一緒に暮らすことを許してくれた。

それからは、おじいちゃんが5代目をしてる何百年も続く料亭を手伝い始めた。

「金谷さん。」

「ん、Aちゃんどうした？」

「おじいちゃんが厨房入って来ても追い出してくださいね！」

「うん。分かってるよ。」

白い歯をニッと出して爽やかな笑顔が、
トレードマークな金谷さん。

40代には見えないくらいの爽やかさ。
その上カッコいいからお客様の中には金谷さん目当てで来て頂けてる。

「今日だったっけ？新しい板前さん来るの。」

「はい！坂田さんが紹介して下さった方なので腕は確かだと思いますよ！」

「そっか～、坂田さんなら安心だね。」

金谷さんとの和やかなムードが好き。
金谷さんの爽やかな笑顔が好き。

何回も金谷さんが妻帯者じゃなかったらなぁとか思ったり…。

そんなこと誰にも言えないけど。