隠し事 ページ36
No side
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「…いつか、なんて言わずに今から友達。
な?前は友達だったんだからさ」
「……や、でも、私は裏切っ、」
「そんなん関係あるかよ、バーカ」
わしゃわしゃと頭を撫でて、頰に手を添えた。
「…趣味が合う奴は、大体友達だ。
嫌いな人以外だけどな。
でも、昔と同じように騙されやすくて何かされてもいつも笑顔だったお前が好きだしな」
神崎は一度俯き、何かを決心した様子でAの耳に口を近付け、言葉を発した。
「…っ、Aは、隠し事してる、よね。
人に必要以上に関わらないようにして、傷つくのを恐れてる。
……大切な人を失うのを、恐れてる」
少しだけ口角を上げて、神崎の手首を掴んだ。
「神崎ちゃんともう少しだけ話すんで、失礼します。
本当すみません、失礼します」
頭を下げて、もっと人気のない場所へと足を進めた。
多くはバーベキューに戻ったが、数人は二人の後をつけていった。
.
A side
「…ここまで来たら流石に誰も聞かねえべ。
で、なんだっけ」
手首から手を離し、神崎ちゃんと向き合う。
「…Aは、隠し事してる。
人に関わらないようにして、大切な人を作らないようにしてる。
傷つくのが嫌だから。失ってしまうのが怖いから」
「……そう感じた?」
「うん」
迷いなく、肯定の返事をした。
んんー…そっか。
「……まあ、そうだね。聞いてくれるかい?」
またも、肯定の返事をした。
私は木に寄りかかって話し始めた。
「……一歩退いたところで自分を見てるんだ。
そして、問いかける。
これ以上関わって大丈夫か?
本当にこの人は自分を裏切らないか?
この人は自分を傷つけない確信があるのか?
そして、こう言う。
失うのが怖いなら、これ以上関わるな。
これ以上踏み込むな。
裏切られるのが怖い。傷つけられるのが嫌だ。信用して裏切られるのが心底怖い。失ってしまうならばいらない。望んでないから、大切な人を作らせないでくれ。
…そう、思うんだ。
裏切られるのが怖いから、優しくする。機嫌を伺う。
でも、結局裏切られる。
………なら、もう、誰も信用してやるもんか。
人の目は気になるくせに、他人に関わりたくない。
同情なんかいらない。誰かにわかってたまるか。
永遠の愛なんてないのに。どうせ裏切られる。
誰かを好きになるなんて、……滑稽だ」
私の襟を強く掴んだ神崎ちゃんの目には涙が溢れていた。
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スアール - 麗夜さん» 面白い…ですと……!!?ありがとうございます!!オチは黒尾さんですね…わかりました!!考えてみます!!コメントありがとうございます!! (2018年12月22日 17時) (レス) id: c6bafc7d26 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - むっちゃ面白いです。。。ここまで読むの気持ち的には一瞬でした笑(実際結構かかったけどw)…オチ、黒尾先輩がいいなぁ[壁|_-)チラッ (2018年12月22日 12時) (レス) id: f03c7f545c (このIDを非表示/違反報告)
スアール - エレナルさん» コメントありがとうございます!!更新頑張ります!!ありがとうございます!!オチは研磨ですね!!わかりました!! (2018年12月10日 20時) (レス) id: c6bafc7d26 (このIDを非表示/違反報告)
エレナル - いつも見てます!!更新頑張ってください!応援してます!自分もオチは研磨がいいかなと思います!! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 3b8864b206 (このIDを非表示/違反報告)
スアール - 一香さん» ありがとうございます!!オチは研磨ですね、わかりました!!目標早速達成できなくてすみません...!! (2018年12月10日 19時) (レス) id: c6bafc7d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スアール | 作成日時:2018年12月1日 19時