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この間と同じように、扉の閉まる音が部屋に響く。


嫌うなら、とことん嫌って。
変な優しさなんて見せないで。

お前気持ち悪い、関わりたくないって、そう言って、突き放して。

じゃないときっと、俺は山田への気持ちを断ち切れないから。


「そこ座ってて。ココア入れてくる。」

「あ、ありがと……」


ただ少し話すだけだろうに、そんなココアなんて必要なくない?


しばらくして俺の手元にやってきたほかほかのココアに口をつける。


「おいしい……」

「そ?ありがと、嬉しい。」


「……で?話って何?」

「……うん、あのね、」


山田が、ソファに座ってる俺の前に膝まづいて、俺の手を握る。


「俺はね、気持ち悪いだなんて、思わないよ。

ずっと、俺、伊野尾ちゃんのこと、嫌いだと思ってた。
ふわふわして、危なっかしくて、いっつも薮ちゃんに守られてる伊野尾ちゃんがずっと嫌だった。」


なんだかとても、嫌な予感がした。
この流れを俺は、よく知っている。


「気づいたんだ、俺、伊野尾ちゃんのことが、」

「っ黙って!!」


咄嗟に山田の口をおさえる。

好きって、伝えようとしてくれていた。たぶん。
でもそれは、きっと、ほんの一時の、嘘の気持ちで。

だって山田、彼女いるじゃん。


はやく、はやく嫌われなきゃって、
そう思って、口を開いた。

*→←*



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作者名:酢雨 | 作成日時:2017年6月27日 20時

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