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side:K.I
「なぁ、今日山田からいのちゃんの好きな人知らない?って聞かれたんだけど、なんかあった?」
ケータリングのお弁当の、お箸でつまんだトマトがぽろりと落ちた。
「ちょ、いのちゃんの大好きなトマトが床に転がってるよ!拾わなきゃ!!」
「え、あ、ああ……ごめん、大ちゃん……」
山田が?大ちゃんに?
いやそもそも、なんで大ちゃんが俺の気持ちを知ってるってことを、山田が知ってんの?
「あと、今日の夜、家に誘うつもりって言ってた。」
「っは!?」
「こないだの飲み会でなんかあったんじゃねぇの?」
「はぁ?山田来てないでしょ?
ほら、大ちゃんがべろんべろんの俺を家まで送ってくれて……」
そう言うと、大ちゃんに、わけわかんないって言われて。
首を傾げると、大ちゃんはため息をついた。
「何言ってんの?俺その飲み会行ってねぇけど。
いのちゃんいったい、誰を俺と間違えたのさ。」
え、じゃあ俺は、見ず知らずのやつに恋愛のいざこざの話をしてたわけ?
「それ山田だろ。
だって、その飲み会に来てたメンバー山田だけだし、山田もいのちゃんの家知ってるし。」
「うそ……」
あんまり詳しくは覚えてないけど、だって、あの時の俺はたしかに山田のことを話していて。
……そっか、バレちゃったのか、隠してたこと全部、山田に。
と、2人きりだった楽屋に、山田が入ってきて。
「あ、伊野尾ちゃん、話したいことあるから今夜家きてくれる?」
とても惨めだ、と思う。
山田は一体俺に何を言うつもりなんだろう。
気持ち悪いって、
そう、突き放すんだろうか。
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作者名:酢雨 | 作成日時:2017年6月27日 20時