Colourful Days 【INHPB】 (ページ13)

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「なんかねぇ～、きょう～、おじさんにいっぱいからださわられた！」

ふは、と笑みをこぼす伊野尾ちゃん。
やっぱさっきのやつら、ちょっとしめとけばよかった。

「でもねぇ、きもちわるくて……

おれ、すきなひととさ、そーゆーことしたいわけよ……」

「……好きな人が、いるの？」

絞り出した声は案外震えていた。

「もぉ、だいちゃん知ってるくせに聞かないでよ！」

俺の手を叩いて、ふにゃんと笑う。
俺にはそんな笑顔、見せないのに。
大ちゃんにだったら、そんなに無防備に見せちゃうの？

「……でもねぇ、バレたくないことがバレちゃった。」

「へ？」

「ほんとはね……あいつのことだけが、ずっとすきなの……
あいつじゃないひとになんて……すがりたくない……」

きゅう、と心もとなく俺の手を握る手は、少し震えていて。

守ってあげたい。

そう思った。

「……そっか。
きっと、大丈夫だよ。」

「ん～……いつもの大ちゃんらしくないねぇ、そんなあいまいなこというなんて……」

大ちゃんにも千葉くんにも、この世の人全員に、すがってほしくない。
俺だけ。
俺だけに、涙を見せて、笑いかけて、俺だけしか知らない顔がほしい。

ああ、そうか。
俺は、伊野尾ちゃんのことが、ずっと前から。

嫌いじゃなくて、好きだったんだ。