好きとかなんて言わないで (yb×in)

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朝、隣で寝ていた薮が起きる前に学校に行った。
体は綺麗にされていて、それにも胸が痛くなった。
好きじゃないなら、優しくしないでよ。
もっとひどく扱って、これ以上薮のこと好きにさせないで。

ああ、思い出すと少し泣けてきてしまいそう。



俯くと、聞き覚えのある声がした。


「もう、涼介！！もうちょっと早く優しく漕いで！！」

「無理言うなってば！全力だし全力だったら優しくなんて無理だし！！」


自転車を必死に漕ぐ山田と、その後ろに乗る知念。
……そっか、そういや、知念と仲良かったもんね、山田。


なんだかよくわからない感情に襲われた。
知念はいいやつだし、可愛いし、賢いし、きっと当たり前のことなんだろうけど、薮にも山田にも大切にされてるのが羨ましく思えた。


「いのちゃーーん！！」

「ほぁ？…………大ちゃん、」


後ろから元気な声で走ってきたのは、知念の彼氏の大ちゃん。
中学の頃から薮と俺と、それから大ちゃんは仲が良かった。


「彼女のとこ行かなくていいの？
てか珍しいね？こんな早くに来るなんて。」

「課題終わってなくてさー、家だと進まないし頑張って早起きした！！
知念はほら、朝は山田との時間大切にしてっから。
ちょっと嫉妬しちゃうけど、そのぶん俺といるときは甘えてくれるから大丈夫！」

「……そっか。」

「うん！

……あれ、なにここ、虫刺さ……っあ、」

「へ？」


大ちゃんが俺の首元を指差す。虫刺され？そんな季節じゃないはずなんだけど。


「……いのちゃんもお盛んですなぁ〜！」

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