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「何をすべきなのか……」
伊野尾のために、何をしてやるべきか。
避けることじゃない。それはわかってる。
また関係を続けること?
いや、きっとそれも違う。
今までの伊野尾の行動を思い返してみる。
始まりは、抱いてもいいよって伊野尾が言ったこと。
知念の名前呼んでいいからねって、知念とはとても似つかない真っ白で細い体をさらけ出した。
俺は、それに溺れて、甘えて。
山田の匂いに嫌悪感を感じたのは、伊野尾が他の男にも抱かれてる事実を知ったから。
なんで嫌だったんだろう。
いや、本当はわかってるんだ。ただ、ガキ臭い理由なのが嫌で、見て見ぬふりしていただけ。
俺は、伊野尾に、俺だけのものでいてほしかった。
俺に守られて、俺の隣に当たり前のようにいて、俺のなんの面白みもない話で笑ってくれて、甘えて欲しい時に甘えてくれて、甘えたい時に甘やかしてくれる、そんなやつでいてほしかったんだ。
独占欲、
支配欲、
名前はなんでもつけられる。
ただ、1番しっくりくる名前をつけるなら、
「……俺……好き、なんだ……」
恋心。
きっと、それが1番、この感情にはふさわしい。
と、その時、裕翔がケータイを見て。
「ふぅ……もう、見ず知らずの俺に迷惑かけるような関係築かないでよ……
俺、いのちゃんの部屋帰るね。あとでいのちゃんのケータイから俺のメアド送っとくから。」
「まっ、」
「なに?」
窓に足をかけた裕翔を引き止める。
上を向いて、しっかりと目を開いて裕翔を見た。
「気づかせてくれて、ありがとう。」
「……俺にありがとうって言う前にいのちゃんに行動で示して。」
裕翔が出ていって、隣の窓の中に入る。
ずっと手を固く握っていたのに気づいて手を開くと、手汗でびっしょり濡れていた。
俺はきっと、伊野尾にこの気持ちを伝えるべきだ。
今までのことを謝って、しっかり伝えるべきなんだ。
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子猫丸(プロフ) - 自分は数か月に一度名作を見つけるんですが、また見つけてしまいました。これです。 (2017年3月7日 19時) (レス) id: d59f6a9eff (このIDを非表示/違反報告)
なあなぁ(プロフ) - とっても面白いです!どんどん引き込まれていきます。色々な想いがあってドロドロしていて、すごく好きです!続きがたのしみです! (2017年3月4日 11時) (レス) id: 0449807269 (このIDを非表示/違反報告)
しめじ(プロフ) - わーーーー酢雨さんのやぶいの待ってました…涙 キャリア年長組カプの短編がだいすきだったのでいつか長編でこのカプ読みたいなぁって心待ちにしてました…。更新楽しみにしてます! (2017年2月26日 15時) (レス) id: 0b487b902c (このIDを非表示/違反報告)
りか - とても面白かったです!!これからも頑張ってください!続き楽しみにしています! (2017年2月26日 15時) (レス) id: 6cec520f10 (このIDを非表示/違反報告)
まよ(プロフ) - めっっっっちゃ楽しみです......酢雨さんの集大成期待しかできないです......あまり焦らしすぎないでください笑先が気になりすぎます!応援しております。 (2017年2月26日 3時) (レス) id: cde03f2c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酢雨 | 作成日時:2017年2月26日 0時