心の臓のマリンブルー ( Ym × In )

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涼介を待ってたの。
涼介が俺を必要だって言うから。だから、待ってたの。

山田とね、名前が一緒だから、2人が揃ったら面白いなって思ってたのに、山田はすぐに帰っちゃう。
しばらくして涼介が迎えにくる。

今日も全員で撮影があって、今日もそうなると思ってた。


でも、涼介はいつまでたっても来なくて。
そのうちみんな帰っちゃって、楽屋には俺1人になった。
待ってて、眠くなってきちゃって、優しい涼介だから、迎えに来てくれたら起こしてくれるだろうと思ってソファに寝転んで目を閉じた。





冷たくて少し苦しい感触に重たい瞼を開けると、少し前まで見慣れていたはずの部屋が広がった。


「おはよ、けい。」


顔を見た瞬間、今まで忘れようとしていたことが一気によみがえる。

暴力を振るわれたこと。

それは、俺のためであること。

俺が悪いからそうされること。

恋人の顔、

癖、

好きなところ、

それから、


「ぁ……やま、だ……」


山田涼介って存在が、
たったひとつしかないことも。


なに？
じゃあお前は、俺がおかしくなってんのにひたすら付き合ってたってこと？
俺がタクトに求めたくても求められなかったものを、求めた、その人は、


「帰って来て早々なに他の男の名前だしてるの？」


鳩尾に拳が入って、俺から汚い声が漏れる。


山田は、いったい何がしたかったの？
山田は、俺に何を求めていたの？
俺は、『涼介』に何を求めて、
『涼介』が山田だったことに気がついて、『涼介』に何を思ったの？


暴力を振るわれる中、頭を守りながら必死に考えた。






『涼介』が俺のこと、迎えに来てくれなかった。
『涼介』……山田は、無事なの？

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