【鬼滅の刃】ゼッタイ君主【我妻善逸】

拾玖*解散 ページ19

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｢カァァァァア！｣



鴉特有の独特な声でけたたましく鳴き、
急げ、急げと急かすのは、炭治郎くんの鎹鴉。


どうやらアオイちゃんが、鬼の血液採取云々の話で用があるようで。


至急来て欲しいという旨だったから、任務は蝶屋敷に寄ったあとでいいと御館様からも承諾を貰っている、と彼の鎹鴉が連絡する。



｢そうか、何か分かったことがあるのかもしれないな！すぐ行くってアオイさんに伝えてくれ｣



炭治郎くんも鎹鴉に応え、相互の連絡を頼んだ。


慣れた身のこなしで、テキパキと羽織＿＿さすが長男、綺麗に畳まれていた＿＿に袖を通し、
禰豆子ちゃんに声を掛けて箱を背負う。



｢じゃあ、行ってくる！｣



またなと手を振り、足早に駆け出す炭治郎くん。


赫灼の髪が陽光に照らされキラキラと輝き、燃える炎のようにゆらゆらと風に揺られた。


私たち三人が玄関口に並んで彼を見送る姿は、宛ら、仕事に向かう一家の大黒柱に"いってらっしゃい"と手を振る子供たち。



｢なんだ権八郎の奴、もう行きやがったのか｣



｢俺様も負けてらんねぇぜ！！｣



彼の背中を見送るなり、動きたくて堪らない、という様子の伊之助くん。


朝食も済まし体力も回復した彼は、ついに｢猪突猛進！！猪突猛進！！｣と叫んで、縁側から外に飛びだしていってしまった。



｢ちょ、嘘すぎじゃない？？なんでアイツらこんなに元気なんだよ…｣



俺は疲れたよ、とでも云いたげな空気を纏いつつも、善逸くんもやっぱり、少しでも全員が揃っての会話が出来たのが嬉しいみたいで。



｢ふふっ、嬉しそうだね｣



｢……まぁね｣



……にしても待って。


ふと思ったことに、心の内で冷や汗を流す。


ちょっと早すぎじゃありませんか。


二人きりには、まだ早いって。



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