拾陸*違和 ページ16
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｢ちっ、ちが……＿＿｣
｢何が違うの？｣
咄嗟に口をついた否定の言葉も、
畳み掛けるような彼の言葉の重圧に、あっさりと掻き消されてしまう。
片膝をついて徐ろに立ち上がった善逸くんは、ゆらりと私の前に立って、
いつもの無邪気さを微塵も感じさせない笑顔を浮かべていた。
怖い。
ただ、その感情が私の脳内を渦巻いては、
思考を、行動を、その場の空気までもを支配していく。
どうしちゃったの、なんて問いかける声は喉の奥にくぐもってつっかえたまま。
いつもの善逸くんなら、絶対に、こんなこと言わないのに。
こんな怖い笑顔だって、一度として見た事がない。
確かに口元は弧を描いているのに、蜂蜜色の瞳は全く笑っていない。
｢ぜ、善逸くん｣
意を決して彼の名前を呼ぶ。
自分でも、微かにその声が震えているのがわかった。
それを皮切りに、善逸くんはゆっくり私に近付いてくる。
何が起こるかわからない恐怖に、後ずさりしそうになる足を制して、じっとその場に立つ。
すると。
｢ごめんね、怖かったよねぇ。大丈夫、Aちゃんには俺しかいないって、ちゃんとわかってるよ、本当にごめんねぇ｣
善逸くんは、いつも炭治郎くんに泣きつくときと寸分違わぬいつもの調子で、ガバッと勢いよく抱きついてくる。
ひたすらに混乱を浮かべる私を抱き締めた、彼のその両手は、
まるで赤ん坊が母親を求めるように、強く、しっかりと私の背に回されていた。
ただ一つ気掛かりなのは、
彼の温度とは裏腹に、この部屋の空気が、凍えるほど冷たく感じたことだった。
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チュン逸 - 善逸症候群 (2020年3月17日 9時) (
レス) id: 561c6ca45d (このIDを非表示/違反報告)
すぅ。(プロフ) - 陽雨さん» 続きが気になるなんて…ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年12月14日 7時) (レス) id: ff4b7f13ec (このIDを非表示/違反報告)
陽雨 - え、、。やばっ！めっちゃ鳥肌たちました。続きが気になる…。更新楽しみにしてます。 (2019年12月13日 19時) (レス) id: 60ccd0f591 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ。(プロフ) - Ecarlateさん» ん"ん"んめっちゃ嬉しいですありがとうございます！頑張ります！！ (2019年12月10日 18時) (レス) id: ff4b7f13ec (このIDを非表示/違反報告)
Ecarlate - ン"ｯ"好きｯ！(唐突) 更新頑張ってくださいｯ！！ (2019年12月9日 19時) (レス) id: 08db41b2fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すぅ。 | 作成日時：2019年11月5日 0時
