友達の友達は友達なのか(青)

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渡「…………」

『ぇ』

渡「…………」

『うそ…起きない……』

渡「…………」

『渡辺君、もう学校に着きますっ、渡辺君っ』





渡辺翔太の右腕を少し揺すり、何度も声をかける。





『渡辺くっ』

渡「…………………フッ」

『ぇ…………お、きてますか…？』

渡「………寝てます」

『お、起きてるじゃないですかっ』

渡「寝てる寝てる。爆睡中っす」

『なっ…！』





いつから起きていたのかわからないけど、肩を揺らして笑っている渡辺翔太が隣で目を開いた。





渡「名前。初めて呼ばれた気がするんですけど」

『はっ……！』

渡「山田さん驚きすぎ」

『すみません、名前…』

渡「ん？なに」

『私なんかが…名前を呼んでしまって……』

渡「あぁー、なるほど」





座り直し、さっきまで笑っていた渡辺翔太が真剣な顔で私の鞄をジッと見つめてくる。





渡「おれら、友達になりません？」





口が開いたかと思えば、あまりにも意外な発言。





渡「え、もしかして嫌だったり」

『ちっ違います…びっくりしただけで……』

渡「じゃあ、俺と友達になってくれますか？」





心臓の音が穴という穴から出てないか心配なくらい、ばっくばくしてます。

友達ってこういう流れでできちゃうもの？

その相手がモテ男でチャラ男の渡辺翔太？

それより、なんでこんなに心臓がばっくばくしてるんだろう。

それ以前、に早く返事しないと渡辺翔太に失礼だ。





『ふ、不束者ではございますが…よろしくお願い致します…』





私なりの、精一杯の返事をした。





渡「ふはっ！ふつ、ふつつ？なにそれ、おもろっ」

『……………笑いすぎです』

渡「やっぱいいね、山田さん」

『ぇ、なんて……』

運「次は〜……………」

渡「やべ。降りないと」





先にバスを降りる渡辺翔太の背中を見て、なにかがブワッと溢れ出そうになるのを堪えた。





『あ、わた…な、べ…君……』

渡「んー？」





たどたどしい名前の呼び方にまた笑いながら振り向いた瞬間、





『………バスを、止めてくれて…ありがとうございますっ』





言いたかったことが、はっきり言えた。





渡「どういたしまして。あーあとさ、」





渡辺翔太が立ち止まるから、私も立ち止まってしまい、





渡「髪。めちゃめちゃかわいいと思います、うん」




更になにかがブワッと溢れ出そうになるのを、また堪えた。









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