No.037 ページ37
．
司｢やっぱ強ぇな、お前は｣
楓士雄｢何言ってんだ、お前も相変わらず強ぇよ｣
結局俺の方が先に倒れ込んで
楓士雄には勝つことは出来なかった。
泥だらけになりながら今は楓士雄と並んで帰りに向かっている。
司｢いい所だな｣
楓士雄｢あぁ…何もないけどな｣
司｢俺もこっちに引っ越そうかな｣
楓士雄｢何だよ急に｣
司｢お前がいないとつまんなくてさ…｣
これが本心だった。
別に特別喧嘩が好きで喧嘩がしたいってわけじゃない。
楓士雄と一緒だから刺激があって
どんな困難も楽しく思えた。
楓士雄と一緒なら何もない田舎でも
きっと楽しいだろうなってずっと心のどこかで思っていた。
楓士雄｢俺ら喧嘩の時はいつも一緒だったもんな｣
司｢俺さ…楓士雄が居なくなって勝手に限界決めちまって…
勝てねぇ相手に挑まなくなった｣
別に負けるのが怖いわけじゃない。
楓士雄と一緒ならどんなに体格差があっても
どんなに実力に差があっても“もしかしたら…”って
その駆け引きが楽しかったんだ。
楓士雄と離れてからは
“Aに何かあったら…”
それしか頭に浮かなばくなっていた。
俺らが原因でAが絡まれることなんてよくあった。
でもAも喧嘩強いし、
そんなに心配はいらないけど…
たった一度だけ……俺らのせいで大怪我をした。
それが頭をよぎって
Aを傷つけないようにって…
Aを守ることを言い訳にして逃げてきた。
楓士雄｢爺ちゃんが言ってた、
“目の前にあるものに全力でぶつかって行きゃ
何か見えてくる”って……で、どうだった？｣
司｢まだ伸び代を感じた｣
楓士雄｢何だそれ｣
たった数ヶ月なのにこうして楓士雄を笑い合っているのが
懐かしく感じた。
司｢なぁ、楓士雄…｣
楓士雄｢ありがとな｣
司｢え…？｣
俺の声に振り返った楓士雄は
突然そういった。
楓士雄｢こんな時じゃねぇとお前と喧嘩なんてできなかった｣
司｢こんな時…？｣
楓士雄｢この前爺ちゃんが死んでさ…｣
司｢え…？｣
思わぬ言葉に俺は息を呑んだ。
楓士雄｢何つーか…スッキリしたわ｣
そう言い放った楓士雄に一瞬なんて声をかけるべきか
分からなくなった。
でも同情とかそんなもんじゃなくて…
司｢…やっぱスゲーな、お前は｣
この言葉しか出てこなかった。
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yuna - 素敵なハイローの世界観、ありがとうございます！続き楽しみにします。 (3月16日 19時) (
レス) @page50 id: 11c41947b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiro | 作成日時：2023年10月6日 10時
