University (ページ10)

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「…てかさー、お前ら仲良いなら言ってよ。俺知らなかった」

適当に言ってるだろ、ってつっこみたくなるようなトーンで樹が煙を吐き出す。
ぷかぷかゆらゆら、紙煙草独特の煙が私と慎太郎くんの間を通りすぎる。

「んー最近仲良くなったかな」
「へー、なんでよ」
「いや学部一緒だから仲良くなるでしょーよ」
「あ、お前ら学部一緒か」

「ちなみに教育実習先の学校も一緒～」

ね！って手を握られ持ち上げられて、ゆらゆらされる。
その手は相変わらず優しい男の子の手だけど、リアルな温度を感じて、また心拍数が上がる。

ずーっと振り回されてばっかりだ。

「…いいじゃんA」

『え？』

「慎太郎」

「優しくて、明るくて、かっこいい」

ぱっと慎太郎くんの手を離して、慎太郎くんの方を見たけど、
え？って笑われるだけで何も言われない。
…酔っ払ってる？

『…いやいやいや、慎太郎くん目の前にいるけど！？』
「うん、だからいいじゃん」
『なにが良いの？』
「え、ふたりお似合いじゃない？」

「な、慎太郎」

「…おー」

そう呟いて、煙草をくわえて煙を吐く。
白い煙はそのまま浮かんでいった。

慎太郎くんを盗み見すれば、もちろん目が合うけど、
さっきみたいに微笑まれるのではなくて、こう、ちょっとずるい笑い方をされる。

そのまま視線は逸れない。

依然、心拍数は上がったままだ。

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