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ふらっと席に戻れば、さっきまで私が座ってた席に慎太郎くんがいて、樹はそのまま楽しそうに飲んでた。
結局ライターなんて最初から取りに行こうなんてしてなかったな。
そっち行っていい？なんて聞かれたけど、戻るスペースもなさそうだし。
別の友達のとこ行こうかな。
「おいAどこ行くんだよー」
さっきより明らかに声のトーンが上がってて、
この5分くらいで何回テキーラ飲んだ？いや、飲ませた？
「お前のレモンサワー頼んどいた」
『いやそっち狭いじゃん』
「あ、ごめん。詰めたら隣入れそうよ」
慎太郎くんがあぐらを崩して樹の方に寄る。
…え、私慎太郎くんとくっついて座るの？
ぽんぽんとおいでってされる。
申し訳なさもありながら、断る方が良くない気がして座る。
「はーい、改めてかんぱーい」
運ばれたばかりの重たいグラスを持ち上げてぶつける。
上に浮いてたレモンが沈んでく。
ぱちぱち冷たい液体が喉に落ちてった。
『…樹さ、早速慎太郎くんにばらしたでしょ』
「え？なにが？」
『それすら言いたくない』
「あ〜、優しい・明るい・カッコいい？」
『なんで内容の方もっかい言っちゃうの！？』
ほんとに信じられないってにらめば、間で慎太郎くんがニコニコしてた。
いけないいけない、こんな可愛くない顔見せられない。
「いいじゃん、言って減るもんじゃないし」
『プライバシーってもんがあるじゃない』
「お前もちゃんと女なんだな」
そのまま樹が何の気なしにビールを飲み干して、店員さんを呼ぶ。
私の意見よりお酒が大事ですか！そうですか！
…せめて慎太郎くんがいるなら別の人が良かった。
「おい樹失礼だぞー」
「慎太郎こんなののどこがいいのよ？口を開けば悪口しか言わねーし」
「樹の態度も問題あるだろ」
笑いながらフォローしてくれる慎太郎くんはやっぱりカッコいい。
ほんと樹は見習った方がいい。
ねーってこっちを見ながら首をかたむけられるから、一緒になって首をかたむけたら、
煙草1本でそんな仲良くなる？って言われた。
喫煙所に来なかった樹には教えません。
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作者名：甘さ控えめ太郎
| 作成日時：2023年12月12日 0時
