. ページ5
.
喫煙室は思ったより狭くて、本来なら3人入れるんだろうけど、
きっとみんな2人入ってたら入ろうとしない。
中はがっつり換気と洗浄されてるからか、少しだけ肌寒く感じた。
『小学校の先生目指してる人が喫煙者だなんて』
「お互い様でしょ」
軽く笑いながら、煙を吐く姿は様になっていた。
同い年の男の子が煙草を吸ってる姿は見慣れてるはずなのに、
改めて慎太郎くんってかっこいいんだなって意識する。
「…樹と仲良いの?」
『うん。1年生のときのスノボ合宿で同じ班だった』
「あーね」
慎太郎くんが吐いた煙がふらふら宙を彷徨う。
見つめて、何も考えられなくなる。
『慎太郎くんは誰と…』
言いかけて、なんとなく気まずそうに笑う慎太郎くんを見て、
慌てて言葉を止める。
さっき思ったばっかりなのに、早速踏み込んじゃいけない領域に足をひっかけた。
知りたい、と一方的に思うのは悪だ。
『…私がスノボ出来なくて、樹に馬鹿にされたの』
「え、意外かも」
『そう見える?ありがとう。けどなんだかんだ教えてもらって』
「なんだかんだ樹優しいからな」
『それから樹の体の良いおもちゃよ』
ほんと嫌になる、って笑いながら煙草を吸って、
煙を吐きながら笑えば、じーっと慎太郎くんが不思議そうな顔でこっちをみていた。
『…なに?』
「…え、聞いて良いことか分かんないから迷ってたんだけど」
「樹と付き合ってたりする?」
知りたい、と一方的に思うのはやっぱり悪だった。
.
434人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:甘さ控えめ太郎 | 作成日時:2023年12月12日 0時