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テスト前だからとか夏休み終わったから決起集会だとか。
色々な名目をこじつけて開かれるサークルの飲み会は、
特に好きでも嫌いでも何でもなかった。
1年生の頃は友達作りに必死で、
あとはテストとかゼミの先生とか情報収集のために行ってた。
2年生の頃はお酒の楽しさを覚えたくて行ってた。
それと反比例して、人間関係の煩わしさも一緒に覚えていった。
3年生になって、実習が本格的に始まるから
本当は少しずつ行かないようにしようと思ってた。
…のに。色恋に勝てない私は弱すぎるのかもしれない。
風の噂でしか聞いたことないけど、
彼女と別れてから慎太郎くんがサークル来るようになったらしい。
束縛が原因だったのか、1人になって寂しくなったのかはよく分からない。
あまりパーソナルな部分に踏み込まれたくなさそうな人に見えるから、
あくまで私の想像でしかない。
…好きになるって、ストーカーみたいだな。
あとは、モテるって聞いたことある。
…元カノが可愛いって話も。
…しょうがないじゃんね、好きなタイプとか気になるもん。
ぼんやりと想像してたら、いつのまにか遠くの方の喧騒が
だんだん近づいてきた。え、なに?
「ねぇねぇ、Aって彼氏いねーの?」
『…え』
「ねぇ!いるの?いないの?」
急にやってきてどかっと隣に座られる。
テーブルにがん、とビールを置かれる。
まだ始まったばかりなのにだいぶ飲み過ぎじゃない?
『なんで樹に言わなきゃいけないの?』
「いいから」
『えぇ〜、樹には教えない』
「けち」
ふてくされたようにビールをゴクゴク飲んでる。
やたら喉仏動くな〜って見てたら何、見惚れちゃった?ってニヤニヤされたから、
むかついてにらんでやった。
のに全く動じないで、口に素手でからあげつっこんできた。この人どうなってんの。
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作者名:甘さ控えめ太郎 | 作成日時:2023年12月12日 0時