University (ページ1)

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S.Morimoto ページ1

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「今日A飲み会来る？」
『あー、課題終わってから行こうかな』

「教育学部は課題多いね～。まぁあとでラインするね」

茶髪をなびかせながら、ひらひら手を振って教室を出る。
商学部は良いよなってうらやましくなったけど、
人気ゼミに入るのに必死に勉強してた友達を思い出して、
私には無理だな、と諦める。

ゆるーくながーく息してたい。

どこか移動して課題でもやろうかなと思い、
机の上の教科書やらノートをしまっていたら、
前に大きな影が止まる。

「なべちゃんの課題？」

『あ、うん。なべちゃん』

見上げれば同じく教育学部の慎太郎くんがいた。
グレーのパーカーに黒いキャップを後ろ向きに被ってて、
隙間に見える金髪と金のフープピアスは陽キャ感を醸し出していた。

「やべー、それ木曜までだったよな」
『慎太郎くんまだやってないの？』
「やってねぇ」

勢いよくやってないって言うもんだから、
なんだか素直でまっすぐだな、と思って少し笑う。

「飲み会このまま行く？」
『やー、どっかでちょっとだけ課題やってから行こうかなって思ってた。』

「…じゃあ俺も一緒に課題やってから行こうかな」

いい？って顔をのぞき込まれたら、その近さに少しドキっとする。
無意識に距離近い人なんだろうな、ちょっとずるい。
けど目をそらすのも違うだろうから、一応目を見ていいよって答えた。

どこでやろうかな、って考えたけど
無難にスタバとかが良いのかなって思って誰かから貰ったはずのギフトチケットを探してた。

「何飲む？」
『カフェモカアイス～』
「え、意外。フラペチーノとか飲むと思ってた」

そのまま何気なく慎太郎くんが注文するから、
ギフトチケットの出番がなくなった。

…あ、お金。

『まって、paypayで良い？』
「あー、いいよいいよ」
『いやいや』

「まぁまぁ、可愛くありがとうって言ってくれればいいから」

『…IDか携帯番号教えて』

「もー嘘じゃん！いいんだって、これくらい奢られとけって！」

ぐいぐい背中を押されながら席に着く。
なんとなく腑に落ちないけど慎太郎くんがニコニコしてたから良いのかな。

同じ学部っていっても専攻教科が違うから、正直そこまで関わりはない。
サークル内に教育学部があまりいないから、ちょっと仲間意識があるくらい。

…それと同時に、実は、ちょっと気になってたりする。なんて言えないけど。

わざわざこうやって向かい合わせに座るとちょっと不思議な緊張感。
当の本人は何も気にしてなさそうだけどね。

たまにちらっと光るフープピアスがずるかった。

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