あの日見た夏色の飛行船 (ページ13)

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大我side

ジ「大我」

大「ん?」

ジ「本当に高い所が好きだね」

大「別にそんなのじゃないけど」

ここ数週間の我が家は、小柄だが一人暮らしには広い家。

トラベラービレッジはそんな家が集まっている。

隣の家のベランダから覗くジェシーを、俺は寝転がって屋根の上から横目で見下ろす。

ジ「じゃあなんでいつもそこにいるのさ」

大「死んだ時のこと思い出すんだよ。」

ジ「…屋上から飛び降りたって本当なの?」

大「勘違いしないで、死にたかった訳じゃないし。」

ジ「じゃあなんで?」

大「つまんなかったから、それだけ。」

死にたくてここに来たわけじゃない。

かと言って生きていたかったということでもない。

つまんなかったから、それだけ。

大「おやすみ」

ジ「…おやすみ」

まだ不満そうなジェシーに背を向けて家の中に戻る。

生きてた頃よりは随分楽しい世界だとは思う。

幼い時から体が丈夫じゃなかったから運動など制限されることが多かった。

ここじゃ病気なんてないから思う存分やりたいことが出来る。

だったら無理に帰らなくたっていいんじゃないかなって。

大「…何のために生かされてたんだろう、俺。」

夏の生暖かい夜風が頬を撫でた。