66.最後のキス。 ページ16
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北斗の部屋をノックして、そっとドアを開ける。
ベッドに座る北斗の手にはあの用紙が握られていた。
「北斗……」
目が合えば泣きそうな顔をする北斗。
「北斗…私たちって、」
「言うな！！」
大声を出した彼の目から涙が零れ落ちた。
用紙をくしゃっと握りしめて立ち上がると、私の側に来て抱きしめる。
「お前が…Aがずっと、京本のこと想ってたのは気付いてた。
これを機に別れようと思った。
だけどいざ現実を受け止めようとすると辛すぎて…苦しすぎて…っ」
「北斗っ……」
彼の苦しみが痛いほど伝わってきて、涙が堪えきれず溢れてくる。
私だって苦しい。
確かに、大我のことを忘れた日なんてなかった。
いつも心のどこかに彼がいた。
だけど時間が経つにつれて少しずつ、北斗のことを愛してるって思えるようになってきてたのに。
こんな…こんなことってある…？
私と北斗が、"きょうだい"だったなんて…。
辛いし苦しい。
だけどきっと、北斗の方がもっと苦しいんだよね。
「俺、昔からずっとAのことが好きだった……。
やっと初恋が実ったと思ったのに……！」
抱きしめていた手が離れて、北斗の顔が見えた。
その顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「幸せになれよ…A。」
「っ…北斗は…、」
「俺は幸せになんかなれねぇよ。
ずっと姉に恋してたんだぜ？」
北斗はフッと笑って鼻を啜る。
「最後に抱いてもいい？」
「ダメだよ…姉弟なんだから……」
「ふ…残酷だな……。」
悲しそうに笑う北斗に胸が痛んだ。
「じゃあキスだけ…。」
北斗はわたしの返事も聞かずに頬に手を添えて口付けをした。
何度も何度も唇を重ねてくる彼の愛を私は黙って受け入れた。
それが彼との最後のキスとなった。
今までありがとう。
彼はそう言って切なげに微笑んだ。
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和ッフル(プロフ) - yamayama0509021さん» 嬉しいです！ありがとうございます！！ (2021年2月5日 10時) (
レス) id: 287052cd16 (このIDを非表示/違反報告)
yamayama0509021(プロフ) - 一瞬で読み終えてしまいました！！！面白かったです！！！これからも楽しみにしてます！！ (2021年2月4日 23時) (レス) id: f5163d79d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和ッフル
| 作成日時：2020年10月17日 21時
