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「A〜」
名前を呼ばれてハッと目覚めた。
そういや昨日……
「僕はこのままでもいいんだけど朝ご飯作れないからさ。」
『……うわああ、ごめんなさい!!!!』
思いっきり腕に抱きついて寝ていた自分を殴りたい。
…それにしても寝心地良かったなぁ。
「まだ時間あるから寝ときなよ。」
『…いや、今ので目が覚めました。』
「早速敬語使ってんね。朝ご飯抜きかな?」
『あっ……じゃあ私が作るから悟さん寝てて!!』
布団から飛び出して、着替えてキッチンへ立った。
頑張って見栄えの良いものを作ったつもり。どうやっても彼には敵わないけど。
同時進行で作ったお弁当も無事に完成した。
洗濯を干し終えた悟さんに声をかけてご飯を食べた。
それから仕事の用意をして家を出た。
『行ってきます!』
「気を付けてね。行ってらっしゃい。」
今日も頑張って定時で帰ろう、そう決めて出勤した。
*
「Aさーん、受付に家族の方が来られてるみたいだけど、」
『…家族?』
「ちょっと抜けていいから行っておいでよ。」
上司にそう言われて受付へ向かった。
「…そうそう、ホント困った妹ちゃんだよね〜」
受付の女性と話す見慣れた白髪。
「あっ、来た!A〜忘れ物だよ〜」
『な、何してるの……』
「お弁当忘れてたよ。」
『え…わざわざ持って来てくれたの?ありがとう。』
「でもAが作った方は僕が食べたくて中身入れ替えちゃった。」
渡されたお弁当袋と謝る気のないゴメンというポーズ。
あざとい……
「仕事頑張ってね、家で待ってるから。」
『うん、今日も定時で帰れそう。』
「じゃあね。」
ヒラリと手を振ってエントランスを出た。
曲がり角を曲がる前にもう一度コチラに視線を向けて手を振った。
「お兄さんカッコいいですね。」
『えっ……そうです、ね。』
アポ無しでは立ち入れないこの会社。兄と名乗ってここまで来たんだ、と納得した。
お弁当を取り出すと下に折り畳まれたメモが入っていた。
丁寧な字で「頑張れA」と書いてあった。
自分で作るお弁当よりも、悟さんが作ってくれるお弁当の方がよっぽど美味しい。
また午後も頑張ろうと気合を入れた。
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くまこ(プロフ) - ルイさん» 500票目!一気読みお疲れ様でした!本当にありがとうございます✨ (2022年1月31日 19時) (レス) id: 906efc68a2 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 500票目失礼します!書き方もストーリーも好みで一気に最後まで読んでしまいました…!素敵な作品をありがとうございます! (2022年1月31日 1時) (レス) @page37 id: dd88096f0d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - ひなりさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます!やっぱりトリップして来てほしいですよね…同感です笑 コメント頂いたので必ず番外編も書きたいと思います!ありがとうございました☺️ (2021年11月26日 13時) (レス) id: 73baee915b (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - むぅさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます!続編も考えたのですが終わりどころ見つけられず諦めてしまいました💦番外編!期待されたら書くしか無いですね!しばらくお待ちください!必ず書きます!ありがとうございました☺️ (2021年11月26日 13時) (レス) @page30 id: 73baee915b (このIDを非表示/違反報告)
ひなり(プロフ) - 完結おめでとうございます!私の家にも五条先生がトリップしてきたらいいのに……と思いながら楽しませていただきました笑もしお時間あるときがありましたら、番外編を書いてくださると嬉しいです!!本当に面白かったです!これからも作品楽しみにしています! (2021年11月26日 7時) (レス) @page30 id: 51dad2d676 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年10月9日 19時