お狐さまのいうとおり。２【ars】【hsj】

最終話 ページ48

春。


ぽかぽかと暖かい日、縁側に行くと、伊野尾さんがすやすやと眠っていた。


『日向ぼっこしながら寝てる。猫みたい(笑)』


彼のそばに、涼介さんから届いた手紙があった。


伊野尾さんは、ここで静かに暮らしながら私たちの仕事を手伝っている。


山田さんは、裁判での私たちの尽力によりあれだけの大罪を犯したにも関わらず、短い刑期で裏会の監視下に置かれながら留置所にいる。


ときどきこうして、山田さんから伊野尾さんに近況報告の手紙が届く。


知念さんは、あれからも私たちの手助けをよくしてくれている。


結界師と滅却師の関係は修復されつつある。


私たちは、変わらず結界師の仕事を続けている。


幹部となった私は、激務に追われている。


雅紀「Aちゃん」


『？』


庭の池の鯉に餌をあげていると、相葉さんが言った。


雅紀「Aちゃんは、本当に結界師を続けていいの…？やりたいこととかあったんじゃ…」


『私には、みんながいますから(笑)』


彼が私の手を取る。


雅紀「俺、Aちゃんを守れるくらいに強くなる(笑)」


『楽しみに待ってます(笑)』


私は庭の桜を見上げる。


桜の木の根元に、彼の形見の赤い番傘がおいてある。


…和也さん、どこかで見てますか。


彼とした約束は、この身が朽ちても決して終わらない。


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この美しい世界に────────


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────────いつまでも、生きて。


Fin.

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