階段�� ページ7
「お。ちゅーす、Aちゃん」
「ぎゃ」
「乙夜影汰先輩！？」
隣を歩くみかちゃんが驚いた顔で私と先輩を交互に見ている。
乙夜先輩とそのご友人が上から降りてきて、私の目の前に立ち止まった。
「誰？」
「後輩。次 音楽？」
「は、はい」
目を合わせられないまま答えていると、乙夜先輩が私の目線に合わせて蹲む。この人の目が苦手だ。
「お昼一緒に食べ」
「ない、です」
「え？」
「お昼ご飯ないです！」
「あ、ちょっとA！待ってよ！」
みかちゃんを置いて私は先輩の横を走って駆け上がった。
先輩のご友人の「フラれてんじゃん何人目？」という声だけが聞こえた。
ごめんみかちゃん、後で購買のジュース奢るから今だけは許してね。
長い階段をずっと駆け上がるほどの体力はなく、四階に差し掛かる踊り場で足が止まる。
「ね、なんで逃げるの」
「うわあ！」
息を整える暇もなく先輩の問いかけに悲鳴が出た。
息切れもせずケロッとしているあたり、やっぱり運動部だなとしみじみ思う。
「ペンある？」
「ペン…？シャーペンなら…」
貸ーして、と先輩が手のひらを出す。
この人にビンタしてしまったんだ、シャーペンの1本や2本犠牲になっても仕方がない。
筆箱から質素な物を1本取り出し、震える手で先輩に手渡すとファイルを奪われた。
驚く暇もなく、先輩はそこにサラサラと何かを書いている。
「これ俺のメアド。後で送ってよ、LINEのQR。」
「え」
「返事は？」
「は、い」
ン、とファイルとペンを返され、ついでに私の乱れた髪を整えてくれた。
「いいこ」
またね、なんてリズミカルに階段を降りていく先輩の背に咄嗟に声をかける。
「っ、先輩！」
「うわびっくりした、どしたの」
見上げる先輩が不思議そうな顔で私を見つめる。
「ほっぺ…叩いちゃってごめんなさい」
語勢は弱々しく、尻すぼみになりながら伝えると、先輩はきょとん、として
「やっと目合った。次ビンタするなら爪は切ってね。ばいばい」
追いついたみかちゃんがぎょっとした顔で壁を背に乙夜先輩を見送り、姿が見えなくなったところでまるでマスコミのように私に問いかけてくる。
次もビンタされる気でいるのかな、なんて事を考えながら熱くなった顔をぱたぱたとファイルで扇いだ。
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ちえ - 乙夜の誕生日気がついてたら終わってた。 (12月9日 19時) (
レス) id: ce10ab680a (このIDを非表示/違反報告)
るあちぇ - 先輩後輩系だいすきなんだが！？しかも後輩が女子側のやつがだいすきです、！この作品最高です！！更新頑張ってくださいねー！！！ (9月6日 20時) (レス) id: b2fdbadc01 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃま - えーんTTめっちゃすてきです・・・！更新楽しみにしてます！ (5月19日 15時) (レス) @page19 id: 46f4834660 (このIDを非表示/違反報告)
融点(プロフ) - 死ぬほど好きです、めちゃくちゃ好きです……。更新応援しています……！！ (2023年4月6日 18時) (レス) @page18 id: 6f6f2e1e89 (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - BAB子さん» いえいえ､自分もついうっかり外し忘れちゃう事とかあるので!皆で教えあっていきましょう💪 (2023年3月27日 20時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：BAB子 | 作成日時：2023年3月23日 22時
