ストーキング・ロマンス【 yt × in 】 (ページ15)

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最近、先生と話さなくなった。

だって先生と話すと、イライラするから。

このイライラの原因がわからないことにも、イライラする。

負のスパイラルってこういうことなのかな。

『○○～具合悪い？』

中「ん？別に」

『んだよ～元気ねぇな～！』

中「普通だよ普通」

『そうかぁ？ならいいけどっ』

うるせーな、と正直思う。

俺だって、あんま人と話したくない時もあるんだよ。

教室にいるとめんどくさいことが多くて、購買に行くことにした。

中「…あ」

階段を降りていると、まさかの、先生が上ってきた。

先生は何かの資料に夢中で俺には気付いてない。

どうする？俺。

伊「ここでアルカリが反応して…」

中「…せーんせ」

伊「っわ！」

中「あっぶな…！」

俺に驚いた先生がバランスを崩し、危うく落ちそうになるところを、俺は思わず先生の手を掴んでいた。

中「大丈夫？！」

伊「あれ？ぶじ…？」

中「俺が支えてんだよ！」

何とか転がり落ちずに済んだけど、お互いに状況が掴めなかった。

けど。

伊「ッ…あ、」

中「…」

思いきり引っ張ったせいで先生の身体は俺の方へ倒れていて、抱きしめているみたいな格好になっていた。

先生は慌てて俺を押しのける。

伊「ご、ごめっ…ほんとに」

中「いーよ別に」

伊「ありがと、…じゃ」

中「ねぇ」

バタバタと駆け上がる先生に声をかける。

中「なんで俺の目見ないの？」

伊「…」

後ろ姿じゃ、何もわからない。

先生が今どんな顔をしてるのか。

中「…ちゃんと前見て歩こーね、先生」

伊「…はい」

中「ッ…」

先生が震える声でボソリと呟いた瞬間、俺は、前にも味わったような、背中に何かが駆け上がるのを感じた。

なんだ、これは。

俺自身に戸惑っている間に、先生はもう姿を消していた。