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青い炎 ページ5

Aはカジノの宿泊部屋(ホテルルーム)寝台(ベッド)に仰向けになっていた

この宿泊部屋は、先刻まで居た部屋とは別のシグマがAに用意した部屋だ

Aは右手で目を覆った









『ハァ…ハァ…』

ーーーーー息が苦しい、頭が痛い

真っ暗な暗闇で、十歳にも満たない位の少女が、壁か何かに背を預けていた

少女は必死に呼吸を整え、立ち上がろうとしたが

ドサッ

無理だった

立ち上がるどころか、腰を上げることすら出来なかった

少女はその体制を保っていることも出来なくなったのか、ぐったりと床に倒れ込んでしまった

『…ハァ……ハァ……』

呼吸が乱れている

ーーーーー腕が痛い、脚が痛い……動けない

コツコツコツ

すると、部屋の外を歩く誰かの足音が聞こえてきた

『!』

少女は目を見開いた

そして、その目に一瞬にして、恐怖の色が浮かんだ

少女は足音の主が判る様だ

足音が部屋の前で止まる

ガチャ

扉が開いた

立っていたのは一人の男だった

男は床に倒れ込んでいる少女を見ると

『先刻とは打って変わって弱々しいじゃねぇか』

少女を見下ろすようにしてそう言った

『こ…れは………』

少女は必死に体を起こそうとした

すると、

ドガッ

『カハッ!?』

男は少女の腹に蹴りを入れた

少女は痛みで顔を歪めている

『良いか、A……
お前に、その程度の “薬„ で苦しむ暇は無ぇんだよ』

少女ーーーーーAーーーーーにそう言った男の目は深い金色で、感情など浮かんではいなかった

あるのは深くおぞましい “闇„

蹴られたことにより、Aの意識は朦朧としていた

『人を支配するのに、抑々 “恐怖„ 意外のものは必要無ぇ』

意識が途絶える直前、男がそう言っていたのをAは聞いた

ー籠の中の鳥は、恐怖に支配されていたー









ゆっくりと、閉じていた目を開けた

カーテンで部屋が薄暗い

照明もついてはいなかった

『人を支配するのに、抑々 “恐怖„ 意外のものは必要無ぇ』

男の言葉が蘇る

脳裏に浮かんだその言葉を隅に、Aは長机(テーブル)の上に置かれた一枚の札を手に取った

文字の書かれた、トランプのスペードのA

Aは外套からライターを取り出すと、トランプの札に火を点けた

青い炎に焼き尽くされる

何処か神秘を帯びた炎は、札と共に消え去った

希望の光→←裏頁



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朱鷺の砂 - 夏休み期間なので少し更新速度が上がります (2019年7月22日 22時) (レス) id: 137c29396a (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂(プロフ) - 誤字脱字などありましたら教えて下さい また、作中で分からないこと、分かりにくかったことなどもありましたら教えて頂けると幸いです 他にも、作品やキャラクターについての質問等も受け付けています これからもよろしくお願いします! (2019年6月28日 18時) (レス) id: 4484823ae6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2019年5月19日 7時

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