借りと情報屋 ページ29
「織田作、真逆行く気なのかい?」
太宰から五大幹部会が開かれたことや、マフィア全勢力を以てミミックを迎撃することを聞き乍ら、織田は寝台から降りた
「マフィアの全戦力を以て迎撃するんだろう?」
織田が外套に袖を通し乍ら答えた
「織田作は抗争なんて興味ないと思っていたよ」
太宰が笑顔で言った
「ない」
拳銃吊具を身に付け、織田が言った
「じゃあどうして?」
「借りの多い人生だからな」
織田はそう言うと病室の扉に手を掛け、
「部下が苦戦中なら、助けが必要だ」
そう言って病室を出た
「借りなんて忘れてしまえばいい
相手だって何を貸したかなんて憶えちゃあいない」
誰もいない病室で、太宰はそう独り言ちた
ー数分前ー
病室を出たAは病院の屋上へと向かった
屋上の縁に立つ
眼下に見えるヨコハマの街並み
風がAの長髪と襟巻き(マフラー)を揺らす
「………ポートマフィアとミミックを潰し合わせる、か…」
Aはそう呟いた
その呟きが誰かに聞かれることはない
Aは力強く縁を蹴った
跳躍
向かいのビルの縁にバランス良くAは着地した
パルクールの容量でビルからビルへ飛び移る
あるビルの屋上で、Aはビルに飛び移るのを止め、階下へと続く扉を迷いなく開けた
階段を降りる
このビルは廃墟になっていたが、二階のある一室だけが新しく改装されていた
豪華なシャンデリアと高価な絨毯(カーペット)、高級品質のテーブルと椅子
それらは広い部屋に配置されていた
本来此処は、政治家や議員が秘密会議を行う為に改装された場所だった
廃墟に政治家や議員が集まり会議をするとは誰も思わないし、一室だけが豪華に改装されているとは考えもしない
Aは、屋上から二階迄階段で下り、その部屋の扉を開けた
そこには、二人の議員が上半身と下半身が離れた状態で死んでいた
「……相変わらず、凄い趣味してるね」
Aの視線の先には、道化師のような格好をした男ーーーーーゴーゴリーーーーーが立っていた
ゴーゴリの横には、椅子に座らされている政治家が一人いた
彼はまだ生きているが、肩に重傷を負っている
「!…『客を選ぶ情報屋』か…!?」
Aを見るなり、政治家の男がそう言った
「だったら何?」
Aが冷たい視線を向けてそう返した
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2019年3月29日 15時