【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者＜五＞ (ページ23)

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ミミックの拠点ページ23

それからAは地下の射撃場に来た

誰もいない射撃場で、Aは拳銃を取りだし構えた

構えた拳銃は、旧式拳銃(････)

それは、以前Aがミミックの兵士から取った(盗んだ)旧式拳銃『灰色の幽霊(グラオガイスト)』だった

迷うことなく引き金を引く

ﾊﾞｱｧﾝ

銃声が響く

Aは目を閉じてその銃声を聞くと、次に普通の拳銃を発砲した

ﾊﾞｱｧﾝ

その銃声もまた、Aは目を閉じて聞いていた

「……成程」

Aは短くそう呟くと、射撃場を後にした

そしてAは、煉瓦造りの建築物(ビルディング)の自室に戻った

パソコンの電源を入れ、旧式拳銃を取り出した

パソコンの液晶画面には地図が表示されている

「(密入国のミミックが身を潜めるに最適かつ、銃を扱っても軍警が気付かない場所……)」

椅子に座り、Aは考えを巡らせる

「(街中やマフィアの本部に銃声が届かず、密入国者が隠れるに相応しい廃墟のある場所……)」

考え乍らパソコンを操作する

「！……此処は…」

液晶画面に表示されたのは、山間部の多年生の広葉樹

付近に目立った施設はないが、一箇所だけ気象観測所があった

Aがそこについて調べると、気象観測所は十年前に廃棄され、朽ち果てた廃墟と化していて、周囲の多年生の広葉樹は工事に伴う区画整理で人為的に枯らされていることが判った

物資の運び込みも可能なそこは、ミミックが拠点にするにはうってつけの場所だった

Aは携帯電話を取り出すと、通話釦を押した

「どうも」

『君から電話とは……槍でも降るのかな？』

「もし本当に槍が降ったら、感謝してくださいね…太宰さん」

『そうだねぇ…でも、私は痛いのは嫌いだよ』

「そうですか」

『それで……電話を掛けてきたってことは、何か判ったのかい？』

「……ミミックの拠点は御存知で？」

『今、捕らえたミミックの兵士達の死体を調べてるところだよ』

「そうですか……私の情報が正しいとは限りません…信じるか否かはそちらで決めてください」

『それで、その場所は？』

「山間部の多年生の広葉樹の周囲にある、廃棄された気象観測所です」

『……そう云えば、ミミックの兵士の靴の裏に枯れた葉がついていた…』

「因みにその広葉樹は人為的に枯らされていました」

『成程……今度君の仕事の様子を見させてもらいたいね』

「嫌ですよ」

『そう云うと思ったよ』

Aの返答に太宰はそう言って電話を切った