【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者 ＜０．５＞

〃 ページ47

「そう云えば今日は襟巻き(マフラー)を巻いていないんですね」

ドストエフスキーがそう言い乍らチェスの駒を動かす

「別に今日は目立つ仕事は無いし、頭目は “これ„ のこと知ってるからね」

Aはそう言うと紅茶を一口飲み、チェスの駒を動かした

「でも、何故フードを？」

「イメチェン…的な？」

「あまり印象は変わっていませんけどね」

Aの言葉にドストエフスキーは駒を動かしてそう言った

「じゃあ、フリル付きのドレスでも着てみようか？」

「止めてください」

「でしょ？」

Aはそう言って駒を動かす

黒と白のチェスの駒が盤上で行き交う



「……チェックメイトです」

ドストエフスキーがそう言って駒を置いた

「あー……そうなるの…」

盤上とドストエフスキーが動かした駒を見てAはそう言った

「また僕の勝ちですね」

「毎度の如く勝ち方が変わってるけど……それって面白いの？」

「ええ……ですが今日は、もっと面白いものがあります…」

「？」

ドストエフスキーの言葉にAが首をかしげると、ドストエフスキーはAの正面に来た

「A、どうしてフードを被ってるんですか？」

先刻と似たような質問をAに聞いた

「そ、それは……」

Aが目を逸らした隙にドストエフスキーはAのフードをとった

「！」

「……ﾌﾌｯ…意外と似合いますね」

「…は！？」

フードをとったドストエフスキーはAを見て笑っていた

「真逆、此れ…！」

「ええ、僕が昨日貴女に薬を飲ませたんです」

「なんで……」

そう言ったAはドストエフスキーから目を逸らす

「気分です」

ドストエフスキーはそう言うとAの猫耳に手が触れる

その手で猫耳を撫でられる

「！…ひゃっ……」

Aの耳が瞬時に紅くなる

「耳が紅いですよ、A」

「五月蠅い」

笑みを浮かべたドストエフスキーにAは顔を逸らしてそう言った

すると、

ｸｲｯ

「！？」

ドストエフスキーがAの顎に手を掛け、自分の方を向かせた

「誰に向かってそんなことを云っているんですか？」

「！」

面白そうな笑みを浮かべているドストエフスキーの声が僅かに低くなったことにAは気付き、微かに目を見開いた

刹那、Aの目の前にドストエフスキーの顔があった

唇の感触

Aが接吻をされていることに気付くのに6秒掛かった

「悪い子にはお仕置き、ですかね？」

ドストエフスキーは妖艶な笑みを浮かべてそう言った

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