【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者 ＜０．５＞

僕なんか…　【渚said】 ページ33

渚said

鷹岡先生の拳を、難なく受け止めたAさんは、正直カッコよかった

でも、僕の目はある一点に釘付けになっていた

つい先刻、Aさんが異能力を使って倒した女の人

その人がAさんに向かって右手をつき出していた

異能力についてよく知らない僕でも、その人がAさんを殺そうとしているって判った

Aさんなら、その攻撃も防ぐだろう

そう思ったけど、僕の体はAさんの方へと向かって行った

皆、Aさんの姿に釘付けになっていた

「Aさん！！」

Aさんは強い

この暗殺教室では、僕なんかよりもずっと、皆の役に立てる

女の人のナイフが、物凄い速さで放たれた

「渚君！！」

Aさんの声が聞こえた

すると、

ﾄﾞﾝｯ

僕の目の前に、Aさんが立っていた

「ｶﾊｯ……」

「！？」

校庭に赤い血溜まりが出来ているのが見えた

ｶﾞｼｬﾝ

音を立てて、本物のナイフは血溜まりに落ちた

ﾄﾞｻｯ

Aさんが倒れ込んで来た

そこでやっと僕は理解した

僕はAさんに守られたのだと…

血液の臭いが鼻をついた

僕は、自分の手が赤く染まっているのを見た

僕に体を預け、気を失っているAさんは、生きているか判らない程、肌が白かった

「渚君、大丈夫か？…彼女を直ぐ病院に連れていく！」

烏間先生が駆け寄って来て、僕にそう言った

僕は、Aさんを烏間先生に預けると、その場にしゃがみこんだ

僕のせいで……

先刻の光景が頭を離れない

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