【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者 ＜０．５＞

〃 ページ11

「太宰！手前…何で此処に！？」

「立てるかい？」

中原の言葉を無視して、太宰はAにそう聞いた

「……はい」

Aがそう答えると、太宰はゆっくりとAを立たせた

「………ありがとう、ございます」

太宰に礼を言ったAだが、矢張り体に力が入らないのか、建物の塀に体を預けている

「大丈夫かい？……とても一人で歩くには無理があるように見えるのだけど…」

「………！？」

何も言わないAに、太宰は短く接吻をした

「！？」

「おい、太宰…手前、何しやがる！」

中原が太宰にそう言うと

「何って……接吻だけど？」

太宰は、楽しそうな笑みを浮かべ、当たり前のようにそう言った

「……………は？」

Aは、太宰の言葉を理解するのに、珍しく時間が掛かった

「手前、俺の部下に何しやがる」

「(中也さん、貴方にそれを言う資格があるとは思えないのだが……)」

そう思いながらAは壁に背を預け、座り込んだ

「(そう言えば、この二人、仲が悪いんじゃ……？)」

そう思ったAに

「……君はどうだい？」

太宰はそう聞いた

「……？」

太宰の言葉に、Aが首をかしげた

「私と中也……どっちが」

「手前を手に入れることができると思う？」

太宰と中原がそう言った

「………(何なんだ……この二人)」

「答えてくれないと………困るのだけど」

Aが何も言わないでいると、太宰の声がAの右耳の耳元で聞こえた

「！？」

「早く云えよ」

太宰とは反対側のAの耳元では、中原の声が聞こえる

「！………
そう、ですね………」

Aは、中原の声に少し驚きを露にしたが、顎に手をかけて考える素振りを見せた

「………御二人には、それは、無理ですね」

Aは、そう言うと素早く立ち上がり、二人と距離を取った

「「！」」

「御二人のその意味の分からないことに付き合っている暇は、私にはありません……ので、帰らせていただきます」

Aは、そう言って路地裏を出た


太宰と中原がAを探す中、Aは、先刻までいた路地裏の隣にある路地に身を隠していた

「…う、動けない
(何故、体に力が入らないんだ…？……真逆、私の正体が分かって、あの時に何か薬を盛られた……！？)」

Aは、周囲を気にしながら考えたが

「否、それはないな……あの様子だと」

すぐに考えを改め、呆れた口調でそう言った

ｰｰｰｰｰ
相変わらず終わりが謎ですが、それはさておき、

明けましておめでとうございます！

今年も私、朱鷺の砂、そして『地下組織の変わり者』をよろしくお願い致します！

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