鼠の頭目と傀儡師 ページ49
あるビルの屋上
Aは、柵が外れた処から、脚をぶら下げて風に当たっている
Aの白い外套が、黒い長髪が、風でなびく
「…主は、この闘いの結末をよんでいたんでしょ？」
Aの背後から、赤い瞳を持った少女がそう言った
「何故、そう思うの？」
Aが少女にそう返した
「恩人の墓の前で、『澁澤が負ける方に賭ける』なんてこと云ったらね……私でも分かるよ」
「云ったっけ？…そんなこと……」
「またそうやってとぼける」
Aの応えに、少女が呆れたようにそう言った
「さて、そろそろ行こう」
Aがそう云って立ち上がると、少女の姿が赤い文字列となり、Aに吸い込まれる
そしてAは、柵の上にバランス良く立った
柵の上に立ったAは、あるビルの屋上を見据え、柵を思いきり蹴った
柵を蹴り、跳躍したA
建物から建物へと飛び移る
だが、建物と建物の間は、決して、人がジャンプしただけで届く距離ではない
建物を使い、見据えたビルへと、Aは着地した
「澁澤龍彦は、貴女にとってはつまらなかったようですね」
Aが着地すると、そのビルの屋上に居た男がAに背を向けたまま、そう言った
「そもそも、異能力で人間じゃなかったし……」
Aは、男にそう返した
「そう云う頭目は、随分と楽しそうだったけどね」
男が何かを言う前に、Aがそう言った
Aが頭目と呼び、慕う男ｰｰｰｰｰフョードルｰｰｰｰｰは、その言葉に笑みを浮かべた
「彼等と同じように、僕も、この街が好きになってきました……」
フョードルは、そう言って、手にしたリンゴをかじった
瑞々しい雫が、繊細な指を伝って落ちた
「みんな次まで良い子にしてるんだよ」
誘惑めいた言葉を舌に乗せる
「……そういえば、貴女が首に何も着けていないのは珍しいですね」
フョードルが思い出したように、振り返り、Aに言った
「ああ……まあ、鼠にチョーカーは猫みたいで似合わないと思ってね
襟巻き(マフラー)は、頭目との関係を彼等にバレないようにって、今回は使うのを辞めたしね」
Aがそう言うと、風が吹き、二人の髪がなびく
普段隠れているAの首の一部が露になる
Aの右耳の下(首の側面)に浅葱色をした『CF-24』の文字があった
それは、まるで、呪いのようにAの首に刻まれている
二人は、ヨコハマの街並みをビルの屋上から笑みを浮かべ見下ろした
「さて、戻りましょうか……僕達の拠点へと」
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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ！頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (
レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます！ (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです！小説面白かったです！更新頑張って下さい！ (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱鷺の砂 | 作成日時：2018年10月7日 18時
