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敦・鏡花・芥川 ページ46

「鏡花ちゃん
君の嫌いたくなかった夜叉白雪は、君の言葉に必ず応える」

確信をもって告げた敦の言葉に、鏡花がはっと顔を上げた気配があった
鏡花の様子を背中で感じとった敦は、大切なものを守るため、雄叫びをあげて澁澤に爪を立てる

「その青さも美しい」

澁澤が赤い瞳を細めた
激突
敦と澁澤が、ふたたび対決する
二人の力は拮抗していて、他社は容易く割り込めない
鏡花は、意を決して喉を震わせる

「ーーーーー夜叉白雪!!」

敦にとどめをさそうと上空に浮かび上がった澁澤の背後に、夜叉白雪が降り立ち、白刃が澁澤の胸を貫いた

「!」

夜叉白雪の刀によって、澁澤は地面に磔にされる

「芥川!」

「僕に命じるな!」

芥川から黒刃が繰り出され、奔流は籠となり、澁澤を閉じ込めようとする
籠が閉じる直前、駆けた敦が滑り込んだ

「もう逃がさない」

籠の中で、敦は澁澤に告げる
降り被った拳で、澁澤を撃ち抜く

「うおぉぉぉぉぉ!」

激震が走る
激情が吹き飛ぶ
敦は繰り返し拳を振るい、爪を突き立てる
骨が砕け、澁澤の口の端から血が滲む

「これだ……これだよ」

澁澤は、笑い声を上げ、敦との距離を詰め、顎を蹴り上げる

「!」

「死して尚感じるこの歓喜……君にも伝わるかい!?」

澁澤の額にある角のような結晶体が赤い光を放ち、光線となって羅生門の檻を破る

辺りの赤い霧を集めた澁澤が、敦と自身を赤い光球で覆っていた
今度は澁澤が敦を逃がさないとでも言うかのように

「すべての異能に抗うその輝きを、今一度、私に見せてくれ!」

澁澤の結晶体が、再び赤く輝く
強い強い赤光
光を浴びせられ、敦から虎の力が消えて行く
かわりに敦の体から浮かび上がるのは、青白い異能結晶体だ

「さあ!…その異能を、私に!」

澁澤が結晶に手を伸ばした

ーーーーー奪われる

六年前と同じだった
激痛が敦を襲い、喪失感に蝕まれる

「美しい……これこそ最高の異能だ」

「違う!
それは異能力じゃない、僕自身だ!」

敦が魂を込めて宣言した
全力で抗い、必死に手を伸ばす
敦の手が、青白い異能結晶体を掴んだ

「!」

手のひらから熱が伝わる
敦にふたたび白虎を宿らせる

澁澤の両手が敦を阻み、互いの腕を掴みあった

「く……っ」

互いの体がせめぎあう
筋肉が悲鳴を上げ、腕が軋んだ

朝日→←覚悟



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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