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汚濁 ページ40

中原の重力子と龍の光弾の衝突
その衝撃で中原は弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる
中原の体は石畳に埋まり、動かない
数秒の攻防で決着は着いたように見えた
だが、次の瞬間

霧の中から、ビルを手にした中原の姿が見えた
ビルがまるごと重力を無視して浮き上がっている

中原は、ビルを持ち上げ龍に打ち下ろし、殴りつける
物理攻撃を受けた龍は、再び光弾を撃とうとした
その龍が開けた口に、中原がビルをまるごと叩き込む

中原の攻撃は、もう止まらない
激震、空間の歪み、爆発
それにより生まれた隙を狙って、中原は全身全霊を込めて重力子弾を撃ち込む

「太宰!」

叫びは大気を震わせ、弾は龍の体を穿つ
龍が身を捩らせ、耐えきれなくなったように全身が光に変じた
閃光が走る
龍が消え、かわりに真紅の光が溢れ出す
霧が吹き飛ばされ、骸砦一帯が光に包まれる
光の中で骸砦がゆっくりとその形を失っていく
曲線を描く塔が折れ、漆黒の影が壊れる
音も届かない光の極致で、残された欠片が脆く崩れていった





「陰鬱なる汚濁か……」

骸砦から、中原と龍の激闘を見ていたAはそう独り言ちた
その手では、赤と白のカプセルが異彩を放っている




中原は、光の中心地に浮かぶ太宰の頬を殴り飛ばした
衝撃でナイフは抜け落ち、何かが弾けたような音がした

まるで、口中に仕込んだカプセルが、殴られた衝撃で潰れたような音

やがて、汚濁に侵された中原の頬に長い指が触れる
途端、中原の異能が無効化された

「私を信じて『汚濁』を使ったのかい?
泣かせてくれるね…………」

落ち着いた声が響く
それは、つい先程まで死亡していた筈の太宰の声

「ああ、信じてたさ
手前のクソ忌々しい生命力と悪知恵をな」

「白雪姫を目覚めさせるには、少々乱暴な方法だったね」

「殴られるのを見越して、口の中に解毒剤を仕込んでやがったくせに……」

中原は嫌悪も露に吐き捨てる

すべては太宰の想定通り

フョードルとAが太宰と協力するふりをして結託することも、澁澤がフョードルと組んで太宰を毒殺しようとすることも、特務課が中原を招聘することも、中原が死亡した太宰を殴ることも
何もかも太宰の想定した通りだった


光が消え、太宰と中原は地上へと降り立つ
太宰の上から去ろうとする中原を太宰は封じた

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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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