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四人の声に導かれるようにして、塔の天頂から光が溢れ出る
溢れた光は赤い霧のように世界を侵蝕し、あっというまに大きくなっていく
やがて輪郭をととのえ、ひとつの巨大な生物を形づくる

蒼白な月のもと、骸砦にとぐろを巻くようにして、それは生まれ出た
月を呑み、雲を纏い、霧を蹴散らす偉大な存在
その威容の前では、骸砦さえ赤子の玩具に見える

蛇のような体躯は輝く鱗で覆われ、長い鬣が威風を放つ
その爬虫類を思わせる手だけでヨコハマのビルを握り潰せるだろう
狂暴さを感じさせる牙のひとつひとつが、人の体より遥かに大きい

暴虐さと神聖さを併せ持つ、稀有なる姿

人の世に存在せぬはずの姿でもって降臨した存在を見て、フョードルはゾッとするほど美しい笑みを浮かべ、Aは楽しそうに目を細め笑みを浮かべていた

「これは暴走でも特異点でもない
龍こそが、異能が持つ混沌の本来の姿なのです」

ヨコハマの街に、龍が降り立つ
龍は咆哮でもって、みずからの存在を世界に知らしめた





「龍だと……」

ヨコハマの市街地で、骸砦に向かっていた芥川の視線の先に骸砦を守護するように現れた巨大な龍がある

「……」

芥川のすぐ傍を走っていた鏡花もまた、龍の姿に唇を噛む
とてもつもなく大きな敵が立ちはだかっている
目で、肌で、それが感じられた
龍は、猛々しく威圧を振り撒く





上空にある衛生から骸砦を注視していた異能特務課も、龍の出現にいち早く気付いていた
特務課の通信室では、悲鳴に似た声が上がる

「特異点異常値が上昇!
六年前の二倍、二.五倍……異常値上昇中!」

オペレーターの恐怖と焦りを滲ませた声に、責任者である安吾は強張った表情を浮かべる
現在、特務課が打てる手はすべて打ってある
あとはどうすることもできない
とはいえ、気楽に見ているだけなど到底できるものではなかった

「A5158の現在地は?」

汗が滲む手を机に叩きつけ、安吾が問う
オペレーターが答えるよりも先に、機械を通した通信音声が響いた

『おたついてんじゃねぇ、サンピン!』

「ーーーーー!」

ビビって帰っていい時→←仲良し



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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