貪欲な生への渇望 ページ36
「あのとき僕は爪を立てた、あのとき僕は爪を立てた、あのとき僕は爪を立てた、あのとき僕は爪を立てた、あのとき僕は爪を立てた……」
六年前で時が止まってしまったような石造りの部屋で、敦は己を責め続ける
敦は、院を出て一人になったとき、どうしようもなくなり行き倒れそうになったとき、その時、漸く異能が目覚めたのだと思っていた
ーーーーーだけど、違ったんだ
もっと前に、敦は異能に目覚めていた
虎の力を振るっていた
ーーーーーー澁澤を殺すというかたちで
罪悪感に押し潰されそうになる
自責を続ける敦に、澁澤から分離した異能が、ポツリと溢した
「ああ、あのとき君は私を殺した……」
「!」
責めるような澁澤の言葉が、敦の心を逆なでした
はちきれそうなほど膨らんでいた罪の意識を刺激され、敦の感情が爆発する
ーーーーー僕が悪いっていうのか!?
違う、そんなことない
「だって爪を立てるだろ!」
敦は思わず、怒鳴りこむ
心からの叫びが、咆哮となる
ーーーーー僕は何も悪くない!
だって………
「だって僕は生きたかった!」
全身全霊で叫び声をあげる
そうしなければ壊れてしまうと、敦は思った
いつだってそうだ
いつだって敦は自分を守るために戦ってきた
全力で、何もかもを武器に代えて
ーーーーー貪欲な生への渇望の、何が悪い!?
「ーーーーーいつだって少年は、生きるために虎の爪を立てるんだ!!」
扉を閉める思い閂が割れた気がした
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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時